かわさき市民オンブズマン会報 第44号
2004年12月2日掲載

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***もくじ***

● 主張:かわさき港コンテナーターミナル(株)が破産した税金無駄遣いの実態を知り、
市民は怒り、行動すべきだ、
マスコミは北海道新聞に続け(12月9日市民のつどいを開催)  (代表幹事:江口 武正))

● ザルツブルグ市長から 阿部市長への招待のカラクリ (川口 洋一)

● 川崎市長 安部孝夫様(茂木 実)

● 十字路
  ★:ぜん息患者の医療者救済と 税金の使い途(篠原 義仁)

  ★:「川崎市による憲法違反の政党機関紙講読調査」裁判
     証人調べで明らかになった異例ずくめの市議会質疑(原告:穂積 建三)

  ★:どこを向いているの小泉総理(佐々木玲吉)

  ★:「わくわくプラザ」問題の考察(望月 文雄)

● 会計報告


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主張 : 「かわさきコンテナターミナル(株)」が破産した、税金無駄遣いの実態を知り、市民は怒り行動 すべきだ、マスコミは北海道新聞に続け
(12月9日市民のつどいを開催)
(代表幹事:江口武正)



 川崎市の第三セクターである「かわさき港コンテナターミナル(株)」(=KCT)が今年3月に破産した。

しかしこの事実を知っている市民は非常に少ない。これは川崎市自体が市民の目を恐れ内輪に処理しようと

努めているからだ。また、マスコミも問題を表面的に捉え事実を単に伝える姿勢であり、扱いも小さく、問

題の本質に迫るような記事は皆無である事が市民に伝わらない主因であると言いたい。



 問題の本質は「コンテナ貨物」が川崎港に来ない事である。東京港・横浜港に挟まれ競争力の無い川崎港

にはコンテナ貨物が来ないのではとKCT開設当時から懸念されたことである。



 当時の高橋市長はすこぶる楽観的な予測を見立て、貨物量の増加を見越し、第二バース建設まで推進しよ

うとしたが、此れは流石に国により阻止された。

 その後の扱い量実績を見ると、我々の懸念はさらに募り、税金の無駄遣いを阻止すべく数回に渡り監査請

求を行ったが、何れもポートセールスの強化によりコンテナ貨物が増加するとして受け入れられなかった。

 川崎市の強弁にかかわらず、コンテナ貨物は来ず、とうとう川崎市は裁判所にKCTの破産申し入れを行い

今年初旬の破産に至ったのである。

 高橋市長からバトンを引き継いだ阿部市長に我々は大きな期待を持ったが、当初は若干の方向転換を匂わ

せたが、既存の勢力の圧力に屈してコンテナ事業を継続する事を阿部市長は決断してしまった。議会も多数

を占める与党の賛成でコンテナ事業継続を承認してしまっている。

 KCTの資本金を溝に捨て、KCTが銀行より借りた借金9億円近くを川崎市が肩代わりし、本来コンテナ扱い

会社が保有すべき門型クレーンを川崎市は買い取り、またその他多くの特典を業者に与えているが、こんな

税金の無駄遣いを市民は承知するのだろうか。

 事実を正しく知れば、市民はその杜撰な行政の措置に怒りを新たにするであろう。継続してKCT問題を追

ってきた我々「かわさき市民オンブズマン」は、多くの市民の方にこの税金無駄遣いの実態及び今後の継続

しての無駄遣いを知らせる義務があるとして12月9日中小企業・婦人会館で「なんでまた破産したKCT事

業にさらに特権的待遇をするのか」と題し市民集会を開催することとした。

 市民の皆様には是非とも集会に参加し税金の無駄遣いの実態を知っていただきたい。そのうえで市長への

手紙等で行政に苦言を呈していただきたい。また、議員に対しKCT問題を税金の無駄遣いの典型として討議

したか問いただし、税金の無駄遣いに無頓着な議員は次の選挙でお灸をすえていただきたい。北海道警察本

部が裏金作りの事実を認めた事が大きく報じられている、しぶとい警察が認めた裏には、新聞協会賞を受賞

した北海道新聞の勇気ある報道が大きく貢献していたのである。川崎市の第三セクター最初の破産であり、

その重要性を認識され、マスコミの方々には当件に対しシリーズ物等の腰の座った網羅的報道を期待したい。



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ザルツブルグ市長から阿部市長への招待のカラクリ (川口 洋一)





10月ミューザ川崎シンフォニーホールに、ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団がやってきました。

時を同じくして訪れたザルツブルグ市代表団を迎えて、10月30日阿部市長はホテルザ・エルシィで歓

迎昼食会を開きました。この歓迎会は、この夏音楽祭にあわせてザルツブルグに出かけた阿部市長にたい

してザルツブルグ市長ハインツ・シャーデン博士が開いた歓迎昼食会に対する答礼でありましょう。

ところで阿部市長のザルツブルグ旅行に際して、新聞はザルツブルグ市長からの招待で出かけるような記

事の書き方をしていました。そして訪問団(団長:阿部市長、副団長:坂本市議会議長、団員:下八川昭

和音大理事長と佐藤前商工会議所会頭、事務局:片井市民局市民文化室長と稲垣総合企画局シティセール

ス担当主幹の6名)の費用が合計600万円弱もかかるということでした。

「これって招待したほうで出してくれないのかなあ、でも招待されて断るのも礼を失してしまいますから、

仕方がないか」と考えていました。稲垣主幹の報告書の書き出しも「ザルツブルグ市ハインツ・シャーデ

ン市長からの招待を受け、阿部市長を団長とする代表団…」となっています。

招待は招待なのですが、これにはちょっとカラクリがあったのです。4月14日、片井室長名でザルツブ

ルグ市渉外担当のブリッテ・リンドナー氏に「8月19日〜22日ザルツブルグに行きます。21日はモーツア

ルテウム管弦楽団の公演を鑑賞するので、20日に訪問団との会談をセットしてもらえるとありがたい」と

の手紙を送っているのです。シャーデン市長から「ザルツブルグへの訪問団を歓迎します。この機会に皆

様を招待いたします。ザルツブルグ市の代表との昼食会をセットいたします」という5月12日付けの返事が

届きました。招待は招待でも、「ザルツブルグに来るんでしたら、お昼を一緒にしましょう」と言うこと

だったのです。

今回の訪問の趣旨は、川崎市代表団ザルツブルグ市訪問報告書によれば「音楽分野をはじめとする本市の

ポテンシャル(潜在的な力:筆者注)や魅力等の紹介と今後の友好都市の絆を深める交流のあり方につい

て協議した」とあります。それだけのために600万円は高い。市民が自主公演をするには広すぎるコン

サートホール "ミューザ川崎"を造ってしまった。それを核にして"音楽のまち・川崎"プランを立ち上げ

たので、老舗のザルツウブルグへ行いけばいい知恵が浮かぶかもしれないと出かけたのでしょうが、報告

書を読む限り、600万円の事業とはとても思えません。市の財政状況の逼迫状態に解消の目途が立った

のであればまだしも、現状はますます悪化しています。平成15年度8,844億円であった市債残高は、16年

度は9,109億円に増えています。

ふつう報告書は、代表者の名前で出されるものですが、この報告書で阿部市長がかかわっている部分は昼

食会の挨拶だけです。成果報告的なものは"川崎市代表団ザルツブルグ市訪問に随行して"という片井市民

文化室長と稲垣シティセールス担当主幹の文章があるだけです。お二人ともにザルツブルグ市が備えてい

る文化的な基盤に圧倒されて、まねはできない、川崎は川崎でやらなければという当たり前の話を長々と

書いています。

同じお金を使うにも岐阜県河合村では、平成4年度から中学2年生全員をオーストリアへ派遣しています。

感受性が豊かな時期に良い音楽・きれいな景色との出会いや外国の方との交流を体験させようとするねら

いです。「音楽のまち・川崎」が5年や10年でできるとは思えません。本当にやる気ならば、次の世代に

投資をするべきでしょう。



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川崎市長 阿部 孝夫 様



04.11.18





〒214-0032 川崎市多摩区枡形1−10−16 茂木 實   (044)911-6548



前略ご免下さい。早速で失礼します。

 私の「阿部市長、外遊費用の返還を!」(「市長への手紙」04.10.1)に対する丁重なご回答(04.11.9)を

拝読しました。有難うございました。

 都市全体が音楽と調和し、一体となっている実情を目の当たりにし、は、もちろん望ましいことであり

ますが、これからの川崎市の都市づくりに必ずや活かせるものと確信します。

 活かした都市づくりが早急に許されるほどの市・財政状況にないこと、現在の危機的状況打開のために

はその前に為さねばならぬことが山積していることは一番ご存知のはず。鋭意努力の結果、財政状況好転

の兆し・見通しが立ってからでも遅くはないでしょう。

 それでもなお今回のザルツブルグ音楽祭にこだわるのでしたら、それほどまでに音楽のまち・川崎構築

に熱意をお持ちなら、頃は良しと夏休みを活用して自費で行かれるべきだったでしょう。如何にザルツブ

ルグ音楽祭を満喫されようと傍から何も申せません。そして、そのご熱意が職員達に浸透し、感動と緊張

の輪を広げ、仕事に取り組む姿勢の手本となったことでしょうに。

 現に、川崎都市問題市民研究所(略称、しみんけん)、奥田久仁夫代表は、市営地下鉄建設が市・財政悪

化へ及ぼす影響を憂えて、建設反対運動の資料作りのために、北は札幌から南(西?)は福岡まで自費で足

を運び、全国9市営地下鉄の現状をつぶさに見学し、関係者に面談なさったのですよ。市民は、そこまで

川崎の将来について憂え、そして又元気都市・川崎づくりを願っているのです。

 市長はボーナス一部カットなさっておられるようですが、それでも財政破綻の瀬戸際とも思えぬ二千万

円超えの年収(03年)、そして20年以上にわたる全国の政令都市中最高の職員給与水準。行政側にある者と

して、少しは襟を正して下さいよ。

 あなたは、川崎市の救世主となるべくチャレンジなさり、めでたく市民の支持を得て市長になられたわ

けでしょ。さすがは!と市民をうならせるようなことをなさって下さい。お願いしますよ。

敬具





追記; 「しみんけん」No.7がお手元にないでしょうから、35頁から一部転載しておきます。

そこには、以下のように書かれています。

「奥田代表は他都市の地下鉄の現状を把握するため、9都市全部を自分の足で歩き、目で見、各市役所へ

出向き、情報公開請求を行い、担当職員の話を直接聴いた。

 お隣の横浜市営地下鉄に関しては、暑い夏の盛り、全駅を1日乗車券を使い、3日間かけて一駅一駅コ

ンコースと駅周辺の調査を行い、川崎市との立地条件の差異の分析をした。

 それらの報告を受けるたびに頭が下がる思いであった。」 以上 





みのる mminoru8@violin.ocn.ne.jp

  http://www31.ocn.ne.jp/~mminoru/

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