かわさき市民オンブズマン会報 第41号 z
2004年6月8日掲載

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***もくじ***

● 主張:かわさき港コンテナターミナル株式会社の破産(江口武正)
● かわさき市民オンブズマン定例総会議事録(巽 栄作)
● 「かわさき」のどこに惹きつけられるのかの謎(生田 典子)
● もっと売り出せ(宮澤 明)
● 司会をしての感想(望月 文雄)
● 十字路「劣化ウラン弾とは(佐々木玲吉)
● 会計報告

主張:かわさき港コンテナターミナル株式会社の破産(江口武正)

 

 「かわさき港コンテナターミナル株式会社」(KCT)の破産

 (川崎市の責任は重大であり、川崎市議会にとっては鼎の軽重を問われる問題である)

KCTは川崎市が筆頭株主の第三セクターであり、川崎市が最大の経営責任を有する株式会社である。

川崎市が横浜地裁川崎支部に申し入れていたKCTの破産にかんして、3月12日に同支部がKCTの破産

を宣告した事によりKCTの破産は正式に決定した。

 KCTの経営が完全に行き詰った事がようやく市民の前に明らかにされたわけである。筆頭株主の

川崎市の責任が重大であることは言うまでもない。今回こそKCT業務の抜本対策を立案し、勇気を

持って実施すべき最後の機会である。

 我々「かわさき市民オンブズマン」(当会)は発足当初よりKCTの無計画で安易な設立によって生じ

る税金の無駄遣いを強く指摘し川崎市の無責任体質を追及してきた。その間、4回の住民監査請

求を行い、最終的には住民訴訟まで行ったわけである。

 今回、破産が決定したからには、設立の経緯の反省はもとより、業務の見直しは当然である。

今後もコンテナ貨物が川崎港に来ないことを冷徹に確認・認識し、適切な対処を実施することは

川崎市が実行せねばならない最低の責務である。

 経営の行き詰まりの原因は、業務の「コンテナ貨物」が来ないことであり、抜本対策を講じねば

ならない事は、小学生でも判ることである。にもかかわらず川崎市は業務の継続と雇用の確保を優

先して決定し、予算も計上した。市民の立場から見ると、この期に臨んでなお、川崎市は大きな税

金の無駄遣いを性懲りなくも継続していると断罪したい心境である。

 我々市民が望むことは、コンテナ貨物の回復が出来ないことを認め、コンテナ事業を諦め、(又

は縮減し)如何に今後の税金の無駄遣いを最小化するかであり、川崎市の実施状況を厳しく見守っ

ているが、今のところ川崎市は目ぼしい対策は考えていないようである。

 そこで、なしくずしにKCTの事業に税金を投入することを防ぐ意味からも、またKCTをどのように

おさめるつもりかを市民の前に明らかするために、川崎市に対し質問状を提出した。このような努

力により川崎市の改革を前提にした対処を引き出して行きたい。

 川崎市議会はKCTの問題につき、川崎市の提案を後押しする形で推進してきており、行政と共に

その責任が問われる立場にある。問題が明らかになった現在、特別委員会を設け、破産の原因究明

と抜本対策を考えるべきである。

 当会は今回の総会でKCTの問題を徹底的に究明することを決議しており、今年の大きな取り組み

になると考えている、市民の方々の支援をいただき抜本策実現を目指したい。




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「かわさき」のどこに惹きつけられるのか、の謎 (生田 典子)

                                

 今年も「かわさき市民オンブズマン」の総会(5/15)に参加しました。不思議です。何が私

をかくも惹きつけるのでしょう。その謎を探ってみることにしました。

                                    ◆ ◇

 まず、毎年魅力ある講演があることも1つの理由です。今年は、仙台市民オンブズマン代表幹

事・小野寺信一弁護士が講師でした。総会の案内チラシには、題して、「オンブズマン活動を旺

盛に」とあります。このタイトルだけでは、それほど吸引力があるとは思えません。箇条書きに

なっている講演内容、☆警察の裏金づくり問題を追及して、☆公共事業の差止訴訟を展望して、

☆オンブズマン活動の活性化をめざして。これでしょうか。確かに「警察の裏金づくり」問題を

どんな風に追及してきたかの関心は強くありました。これ大きいですね。でもこれだけではなさ

そうです。う〜ん、たぶん前にも聞いたことのある小野寺弁護士の話術に期待したのかもしれま

せん。



 講演が始まりました。具体的です。さすが「官官接待」「カラ出張」など、そのネーミングの

うまさと同時に、そういう切り込み方があるのかと人々に知らしめた仙台オンブズマンの代表幹

事です。公共事業などのチェックをする番人であるはずの議員たちは「眠り薬の入ったアメ玉」

をなめて眠っている、という表現など、聞いている人を飽きさせません。面白いだけではありま

せん。市民運動というものは、ねばり強くいろんな角度から時間をかけて諦めずにやっていくこ

と。「各論の積み重ね」「分析→何をもたらしたか→何を得たか→これから何をすべきか、と絶

えず生資料で勝負することだ」、ということを具体的に実感できる講演でした。期待を裏切りま

せんでした。特に、「行くのが楽しみ、という『場』があることが『いい活動仲間をつくる』と

いう指摘に、思わず「これこれ」と頷いてしまいました。

                                 ◇ ◆

 講演後、おっとりとした司会者によって、総会の議事が進められていきます。活動報告と活動

方針の説明と提案、他のオンブズマンの総会と変わりはないはずですが、なんだか雰囲気が違い

ます。これこれ! 形にとらわれていないんですね。前に座っている司会者以外の人々も議事進行

の流れに指示を出します。それが、非常に自由奔放の雰囲気を醸し出しています。その流れの中

で、突然「参加者の中に警察見張番の事務局長がいらっしゃるので、お話をしていただきます」

と司会者が述べました。途端、「ちがうちがう」「まだまだ」「質疑応答してないよぉ」「承認

もしていないよぉ」等という笑い声があちこちから聞こえてきて、嬉しくなってしまいました。

出席者みんなが受動的じゃないのが分かります。自分の問題として参加しているのが分かります。

これは、非常に魅力的でした。



 審議が終わり、お客である「警察見張番」の鈴木健事務局長が挨拶した後もまた、「かわさき

市民オンブズマン」でなく「かわさき住民オンブズマン」にしたらどうか等、いくつもの質問や

意見が出されました。融通無碍です。さまざまな考えを決して排除せず、形式にこだわらず包み

込む、楽しい会でした。これです! なぜ、毎年「かわさき市民オンブズマン」の総会に私が引き

寄せられるのか、この懐の深さです。今、「かわさき」の総会を思い返しながら、ハッキリとそ

の魅力を認識しました。「人と場」の魅力に私は惹きつけられているのです。 謝々! 

 


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もっと売り出せ (宮澤 明)

 ひらがなの「かわさき市民オンブズマン」の骨太の行政の根幹にせまる活躍に、「正義の

助っ人走る!」こんな気持ちを持っている一会員です。

 年金未加入、未納入、税金の無駄使い、「自助・自力」の名による行政改革で、市民生活

に犠牲を強いるなどあげればきりが無いほど、昨今の行政のあり方には腹立たしいことばか

りです。もういい加減にしてほしい、と思うのは私一人では無いと思う。

 過日、区役所に行った折、川崎市市民オンブズマン報告書(臨時)平成14年〜平成15年3月

31日をいただいてきました。

 私は「ひらがな」の「かわさき市民オンブズマン」の会員でしたので、興味もあって初め

て内容を拝見いたしました。

 内容を一読してあまりにも「かわさき市民オンブズマン」の活動内容と比較して、その活

動のレベルの低さ(取り上げている事例が市民生活に無縁とは思いませんが)に驚きました。

しかし、任命権者が市長と言う仕組みでは、税金の無駄遣いに真正面から取り組むことは無

理があると納得はしたものの、腹立たしさを感じました。

 財政的にも税金で保証され、宣伝も行政の線上で行われるわけですから、いたりつくせり

です。市民の血税をつぎ込み破産したKCTについて報告書が一言もコメントしてないのは

まさにその実態を物語っています。

「市民が主人公の立場で、住民本位に川崎市や市議会にまかせきりの行政運営にチエックを

行い、住民自治を発展させ、公正で活力ある社会の実現をめざす」と、かわさき市民オンブ

ズマンの設立趣意書では記述しております。 

 先般の総会で、名称変更のことが論議となりました。私は名称に事の本質があるのではな

く、かわさき市民オンブズマンの活動がいかに多くの市民のなかに浸透し、信頼を得るかに

かかっていると思います。

そのためにはもっと、宣伝と会員を増やすことではないか、具体的にはミニコミ紙の発行

(一般市民向け)、駅、街頭宣伝、市民アンケート、マスコミ活用、シンポジウム、学習会、

会員相互の親睦交流イベントなど集団の力を発揮していくことではないかと思います。川崎

市市民オンブズマンへの腹立たしさを、「か わさき市民オンブズマン」の川崎市民の中で市

民権を確立することによって正したいと思います。

宮澤 明



   


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かわさき市民オンブズマン第八回定例総会 感想 (望月 文雄)



                                 

 開場時間に15分遅刻したので、私が会場に入った時は篠原代表幹事たちが脚立に登って横断

幕を貼っているところだった。篠原さんは縦書きの幕を3枚を開いて、2枚は横断幕の左右に、

1枚は机の全面に貼るという。机の全面に貼る幕は清水事務局長が、張り具合を確かめるよう

に垂らして上部を両手で押さえている。セロテープを使いたいのだが、それは横断幕を展示し

ているグループの手元にあって、両手で机全面に垂らした幕を両手で押さえている清水事務局

長は身動きが取れないのに、誰にも声を掛けて、セロテープを持ってきてと言わない。その時、

篠原代表幹事が「両面テープの方が重さがあって良いよ」と声を掛ける。事務局長は心なしか

不審顔。横断幕貼付グループが脚立の上にそれを置いたので、私が適当な長さに切って清水事

務局長に渡す。ともあれ、幕の処理は片づき、机の配置に気を配る篠原代表幹事。

 貼られた横断幕を見上げて「色むらが酷いな、2 年目だからね、やっぱり毎年替えたほうが

見栄えがいいね」と一人言のように口にする。

 入場者受付が混み合ってくる。資料を組み合わせて来会者に手渡している佐藤宣雄幹事は前

期限りで引退。定刻10分前に事務局次長兼会計兼幹事の渡辺弁護士が、受付の席に着く。受付

は昨年同様3名の事務局次長の女性が揃う。

 定刻、司会の川口幹事が挨拶して、講演者の仙台オンブズマン代表幹事の小野寺弁護士に遠

来されたお礼と紹介をして、総会が開始される。川口幹事の総会資料集の、市会議員報酬リス

トは凄い。数年前、私も報告書を纏めたが、私は議長・副議長・一般議員の報酬例を書き出し

ただけでしたが、彼のは全議員の年俸・諸手当・委員会報酬・視察旅行費・政務調査費と支給

される全項目を網羅し、全ての議員の金額をリストにしたのだから。これを見る市民はどんな

顔をするのだろう。

 嘱望されて仙台から来られた小野寺代表幹事の講演は、昨年の大川弁護士の談合問題に勝る

とも劣らない内容。市行政の食料費を問題に官官接待の実情に迫り、警察の報償費問題、公共

事業差し止めと重要問題の展開。中で私が注目したのは、公共事業の円滑化に備えて、議会対

策として「政務調査費」が制度化されたのだという条りに、改めて納得させられた。「領収書

は会派の代表が管理すれば良く、「公開の対象にならない」という特権。政治って上から下ま

で金金金と金尽くしが明確になり、納得したくないのに、納得されられてしまう。年間200

万円の年金生活者には涎が流れる。もっとも、無年金を強いられている在日の高齢者はもっと

酷いのだが、この社会体制は江戸時代そっくり。百姓は生かさず殺さず・百姓・商人の下に部

落民・無宿を置き、下見て暮らすことを強要した封建時代そのもの。江戸末期23年間に発生し

た百姓一揆は無慮472件に及んだ。(友部謙一・百姓一揆から見た幕末農民の「市場」1971年

による)そんな苛酷なことは教科書では教えないが、それに近い社会状況だろう。

 私が司会を担当した時、下手さ具合が会場に笑いをもたらし、和やかな感じ。

議事の採決後の質疑の時間に会の名称変更の提案がなされたが、採決後なので意見として採択

しようと考えていると、反対意見が二つ三つで、その中で、今名称変更することは、市行政の

オンブズマンに負けることになるから、名称変更はしないほうが良いという発言に、拍手が涌

いた。心の残る発言の幾つかを紹介しよう。川崎市の福祉支援で、支援が不必要になったのに、

依然として支援が続行され、不要な物資が山積みにされているというもの。

 神奈川警察見張り番の事務局長・鈴木さんは先任の山田弁護士が東京地裁の裁判官に任官さ

れて、若い自分には荷が重いと謙遜された。その話を聞いているとき、私は二つの事柄を思い

起こしていた。一つは、半月ほど前、神奈川県警が、報償費関係の書類を過失で焼却したとい

う新聞記事。一つは10年前に横浜・旭署を副所長で退任、道路工事関係の民間企業に天下りし

た人物が、「慶弔見舞金など交際費は公費で賄うのが、どこの署でも伝統になっているよ。

  安い月給じゃ、自費ではね。」と話したことを。司会なのに、ポロッと口にしてしまった。

 公立の学校で、公費の無駄使いという指摘もされた。私にはその実態は不明だが、教育委員

会の事務局人員の多さ(先生を除いて、事務局在籍が570名以上・・平成15年度川崎職員録に

よる)ということがある。気にして、市のホームページを開くと、市は監査委員会に監査を依

頼し、報告書が提出されていて、教育委員会は事務局の総合的見直し作業に入っていたという

自分の調査が反応した。公費の無駄使いはどのようなメスの入れ方があるのだろう。

 会計の渡辺事務局次長から、今日の参加者数45名というメモが手渡されていたが、報告する

機会を失ってしまった。司会者落第だなと少し落ち込む。

 会員増強はいつも強く言われるのだが、人との接触が悪い私には大変な重荷。

快活な西口の名幹事2人の軽やかさが眩しい。     040528 記



   


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十字路「劣化ウラン弾とは(佐々木玲吉)

劣化ウラン弾とは

佐々木玲吉

 戦争が終わってもそのまま放置される地雷の恐ろしさについては今迄数多く報道されて

きましたが、"劣化ウラン弾"についてはあまり知られていなかったと云っても過言ではな

いと思います。私自身もあの分厚い戦車の装甲鉄板を貫通する強烈な兵器位の知識でした。

この度 5月12日川崎市教育文化会館で川崎合同法律事務所主催、伊藤和子弁護士により

「劣化ウラン弾ってなに?」と題して学習会が開かれましたので参加してみましたが、こ

れは大変な事だと感じた次第です。そこで当日の伊藤先生のレジュメをそのまま掲載致し

ますのでぜひお目を通して戴きたいと思います。 



 ところで、この"劣化ウラン弾"は既に第二次世界大戦中に米国で開発され、その危険性

は指摘されていたとの事ですが、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、そして今次のイラク戦

争では米軍は数多く投下し使用しています。然し米国はその事実を隠蔽し、国連の調査も

拒んでいるとの事です。

 もともと大義はない今回のイラク戦争、一日も早くアメリカをはじめとする全占領軍は

撤退すべきであるし、国連による真剣な汚染調査、医療支援は急務であると感じた次第で

す。