かわさき市民オンブズマン会報 第39号

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***もくじ***

● KTC問題に関する声明 (かわさき市民オンブズマン)
● 非常識判決に怒りの控訴(篠原義仁)
● 政務調査費についての一意見(川崎唐変木)
● 大宮中幸町線(仮称)道路築造についての公開質問状   
● ミューザ川崎警備業務委託指名競争入札に関する申し入れ書
  申し入れに対する回答

● 十字路
  • 川崎市の港湾 (望月文雄)
  • 行政改革はまず議員の足元から (佐々木玲吉)
  • これが日本の首相か (清水芳治)
● 会計報告

KTC問題に関する声明
「かわさき市民オンブズマン」

 



1.本日、川崎市は、かわさき港コンテナターミナル株式会社(KCT)の筆頭株主として、その権限を行使して、

  横浜地方裁判所川崎支部に対し、破産及び保全管理命令の申立を行なった。

2.KCTについては、かわさき市民オンブズマンは、その経営実態を分析し、KCTの破綻の事実を指摘して、

  過去3回にわたって川崎市に係る各種支援策の中止もしくは前市長と現市長の違法支援に係る支援相当額の損

  害賠償請求を求め、監査請求を行なった(いずれも、監査請求は棄却)。

  次いで、2002年12月24日、オンブズマン及び川崎市民は、大量の監査請求人団を組織して、川崎市

  (執行機関は川崎市長)としてKCTの破綻状態に鑑み、会社整理手続又は会社更正手続を行なうべきであり、

  それを行なわないことにつき、その「怠る事実」の確認を求めて4度目の監査請求を行った(外部監査の導入)。

  しかし、その監査請求も、2003年3月19日に請求が棄却され、それをうけてオンブズマンは、同年3月

  31日、川崎市長を被告として横浜地方裁判所に対し、前記財産管理を怠る事実につき、その違法確認を求め

  る住民訴訟を提起した(次回期日は、2004年1月28日)。

3.本日の破産申立手続は、1月28日の弁論期日を前にしての川崎市及び川崎市長の決断であるが、破産の申立

  は、オンブズマンが求める会社整理手続と同様の内容をもつものであり、その決断そのものは遅きに失したと

  はいえ、妥当なものである。

  しかし、KCT問題の全面解決を図るうえでは、破産手続はその一端を担うものであり、同時に以下に述べる

  諸課題が明確にされる必要がある。

  伝えられるところによると、川崎市は、KCTが保有するコンテナ移動用の大型クレーン8基を買取り、直営

  方式に移行するとされる。

  しかし、ことはそれのみで解決することはない。

  すなわち、破産手続後、KCTに係る顧客先はどう動くのか、一般的には経営不安の増大からさらに貨物取扱

  量の減少が予測される。他方、累積赤字62億円のうち、銀行団の融資総額は54億円となっているが、銀行

  団はどう動くのか、常識的には債権取立が開始されると思われる。

  そうした場合、川崎市が損失保証(連帯保証)した8億円の取立がどうなるのか。それ以上に、川崎市がたび

  重ねて交付したいわゆる「指導念書」の効力はどうなるのか、日韓高速艇に係る下関市長の損害賠償請求では、

  この指導念書が連帯保証債務を負うと判断されたが、もしそうなった場合の、川崎市長(とりわけ、高橋清前

  市長)の政治責任、民事責任、議会と市民への裏切り行為はどうなるのか、等々、一気に問題が噴出する。

  また、現市長の下での武家の商法となる前記直営方式が、健全に機能する保証もない。

   また、行政のチェックは、市議会が果たすべきことは当然のことである。しかし、川崎市議会がチェック機能

  を果たしたとはいい難く、むしろ、怠慢との批判を免れえない。KCTとこれと連動するFAZ会社の経営実

  態は、市議会の継続的監視におかれてしかるべきである。

   これらの事実を踏まえ、川崎市としてKCT問題をどう全面解決してゆくのか。他方、FAZに連動しないで

  幕引きをはかろうとしているのは見え見えであるが、それについてもどう「決断」してゆくのか、市議会がそ

  のことにつき本来的機能をどう回復してゆくのか、KCT問題を組織的、継続的に追及してきたオンブズマン

  として、私たちは、ひきつづきその監視、追及を行なうものである。

  以上、声明する。               (1月26日付声明の補正)

 


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非常識判決に怒りの控訴 (篠原義仁)

1 川崎縦貫道汚職事件について、川崎市が横浜地裁、東京高裁の判決内容(会報既報のとおり)の履行を怠って

 いたため、オンブズマンは「財産管理の違法確認」を求める住民訴訟を横浜地方裁判所に対し2002年8月15日、

 提訴した(同年5月23日監査請求。同年7月17日監査請求棄却)。

 これに対し、横浜地裁(川勝隆之裁判長)は、2003年11月19日、全面的にオンブズマン主張を斥けて敗訴判決

 を言渡した(住民訴訟で連戦連勝のかわさき市民オンブズマンが初めて味わった敗訴判決)。

 ちなみに、川勝裁判長は、判検交流(判事=裁判官が検察官となり国側訴訟の代理人をつとめ、多くの場合、

 「国の言い分」の頭になって裁判所に戻ってくる制度)の結果、長く訟務検事を経験した裁判官で、冒頭紹介

 した勝訴判決を言渡した岡光民雄裁判官(但し、岡光裁判官も若干期間の判検交流経験あり。行政訴訟の裁判

 長には意図的に最高裁はそうした「人物」を人事の名のもとに配置する)と異なり(本件も当初は岡光コート

 で岡光裁判官の東京高裁への転出に伴い、「意図的人事」配置で川勝コートとなる)、「裁判所の構成が変わ

 れば、考え方も異なる」と裁判長交代後の第1回弁論で公言し、以後その訴訟指揮はだれの目にも原告敗訴

 の方向をにおわせる様相で推移した。

 不幸にもというべきか、案の定というべきか、かわさき市民オンブズマンは前述したとおり、住民訴訟での初

 めての敗訴判決を味わうところとなった。

2  オンブズマンは、直ちに協議し(正確にいうと1の情報分析をふまえ11月幹事会で敗訴の場合は即控訴を確

 認ずみ)、2003年11月28日、東京高裁に控訴した(係属部 東京高裁民事第12部、824号法廷)。

 まさに非常識判決、司法の反動化、司法の行政追随主義を批判しての怒りの控訴であった。

 控訴の理由は、準備書面でまとめられているが比較的わかりやすいとのことで本年2月幹事会で全文を掲載し、

 会員各位にお伝えすることが確認されたので、以下のとおり全文引用し、報告することとする。

3  控訴人は、控訴理由につき以下のとおり主張する。

1、本件にかかる被控訴人の「財産管理」にはもはや裁量の余地はない。

(1) 本件に先行する前訴判決は、横浜地裁判決(甲1)、東京高裁判決(甲2)を経てすでに確定するところとなっ

 ている。そうである以上、被控訴人は、確定した前訴判決の効力に規定され、行政事件訴訟法33条1項、民事

 訴訟法115条1項2号に照らして、もはや被控訴人に裁量の余地はない。

 従って、被控訴人は前訴判決の主文に従ってその実現をめざすべき法的義務を負うところとなった。しかも、

 その実現は、地方財政法8条にも地方自治法138条の2の趣旨にも合致するところとなっている(その詳細は、

 原審での2003年7月1日付準備書面で述べたとおりである)。 

(2) ちなみに、高裁判決の確定(平成13年2月7日判決言渡)後、約2年10ヶ月が経過している。この間、控訴人

 は平成13年3月12日、川崎市長(当時、高橋清市長)に対し法の適正な執行を求めてその申入を行い(甲10)、

 次いで、平成13年11月29日阿部孝夫市長に対し、同趣旨の再度の申入を行なった(甲11、その回答が甲12)。

 それにもかかわらず被控訴人が適切な対応をとらなかったため、控訴人は平成14年5月23日に至り、本件に

 係る監査請求を行なったものである。従って、被控訴人において確定判決の適正な執行につき、十二分にそ

 の熟慮期間があったものであり、従って、本件については地方自治法242条1項、242条の2第1項に該当する

 ところである。

 いずれにしても、前訴判決の執行にあたり、その拘束力の有無の問題が生じるが、これについては次のよう

 に結論付けられる。

 「本判決主文は売却契約を公序良俗違反により無効として原状回復請求を認容したのであるから、市が受領

 した金員を市が支払うことと引き換えに、登記の抹消手続・建物の収去・土地の引き渡しを命じている。

 通常、原告が勝訴した場合、被告は当該自治体に金何円を何日までに支払えというものであるから、被告の

 給付義務は原告に対してではなくて、実質的な権利の帰属主体である地方自治体に対してであるから、原告

 の執行申立権とその方法について問題が生じる。特に本件の場合、地方自治体に作為義務が課せられている

 のである。本件市が当該土地の引き渡しを望まず、金員を支払わない場合には、それをいかに執行するかの

 問題が生じるように思われる。

 このように、地方自治体が判決に基づく作為義務を履行しない場合には、会社法における株主代表訴訟の原

 告勝訴判決と強制執行の問題(たとえば、新谷勝「株主代表訴訟の原告勝訴判決と強制執行」民商法雑誌113

 巻3号43頁以下)と同じような問題が生じる。しかし、会社法と異なり、行政法にあっては行政事件訴訟法33

 条1項が規定する「判決の拘束力」の規定が住民訴訟に適用される、と考えられる。

 たしかに、地方自治法242条の2第6項は行政事件訴訟法43条を準用しているのに、拘束力を規定する行政事件

 訴訟法33条を準用していないのである。しかし、住民訴訟のすべてにその準用を認めるべきであり(伴・大塚

 著『実務住民訴訟』234頁・大和勇美『住民訴訟の諸問題』『実務民事訴訟講座9』60頁)、当該機関は確定

 判決に基づく広義の執行手続きをとる義務を負う(大和、前掲書60頁)。すなわち、本件自治体は、相手方Tに

 対して金員を支払い、登記の抹消及び引き渡しを求める義務を負うのである。」(甲9)以上の次第で、もはや

 被控訴人の裁量の余地を認めることはできない。

 原判決は、こうした法律判断を誤ったのであり、その取消を免れない。

2、原判決は、法の正義に反し失当である。

(1) 原判決は、以下の理由で川崎市への請求を棄却した。すなわち、

@ 本件土地は、売買契約締結時(97年)に比較して不動産価格が下落していること

A 前訴判決も、いかなる時期に土地を買い戻すかは市の裁量に委ねていること

B 川崎市長が、財政上のマイナスが生じることを理由に本件買い戻しを2に従って現時点で行っていないこと

  を理由として、結論において、買い戻しを行わない被控訴人の不作為は、裁量の範囲に属し、かつ、その

 「不作為の方が、市の財務行政の適正な運営に適っている」とした。

  つまり、判決は、法の正義の実現や行政の公正さの担保を下位に位置づけ、金銭的評価(不動産価格の下落

  イコール市財政のマイナス)のみを重視して裁量の範囲内の議論に逃げ込み、被控訴人の主張を鵜呑みにし

  た判決を言い渡した、不当きわまりない判決となっている。

(2) 前訴判決が規範性を有し、被控訴人としてこれに誠実に従うべき法的義務があることは、すでに述べたと

 おりである。 

  ましてや、判決が強調する1億円もの不動産価格の下落は、川崎市の怠慢の結果、下落し続け現在の価格に

 なっているのであり、贈収賄発覚後直ちに控訴人が提起した前訴判決の内容に即した行為をとっていれば、

 その下落は法の正義の実現、行政の公正さの担保という公益の実現からしてとるに足らない下落に止まって

 いたのである。これは、贈賄側の三田工業の「やり得」を許すだけでなく、長期にわたる川崎市当局の怠慢

 を「現時点の価格下落」を理由に免罪してしまう許しがたい判断で、法治国家における法の番人である裁判

 所の適正な判断とは到底言い難い。

 ちなみに、本件地域の路線価は

平成9年      19,5万円/u

10年        19万円/u

11年        17万円/u

12年              16万円/u

13年            14,5 万円/u

14年            12,5万円/u

15年           11,5万円/u

 となっている。行政の無為無策としての価額下落を、行政を救済する論理に使うことは法の正義と相容れな

 いし、法の適切な運用解釈、公正の実現からみて原判決はその取消を免れない。

(3) そして、そもそも本件土地は川崎縦貫道計画に関連して、用地買収の見返りとしての代替地用地として取

 得されたものであり、未だ買収事業が完了していない前記計画にあっては買い戻しの結果として十二分に公

 共的目的(代替地)に資することのできる土地となっている。

 ましてや、本件買い戻しにあっては、従前の利息は何ら付さず売買代金の元本の返還のみでそれが実現し、

 この意味で川崎市財政には何ら損失は発生しない。ただ、売買代金の元本返還と土地返還が同時的に行われ、

 1997年(平成9年)当時に原状回復されるだけである。

  判決は、現時点における不動産価格の下落を強調するが、本件土地が第三者への売却を予定しているのであ

 ればともかく、本件土地は、買収用地の代替地という目的に限定されている。そうだとすれば、この代替地

 用地の下落は、買収用地の下落と対応しているのであり、下落した価格の下での土地同士の交換(代替地提

 供)にあっては、川崎市財政に何ら損失を発生させない。判決は、この極めて当然の道理をいとも簡単に見

 落としている。

 さらに言えば、本件土地周辺は、道路左側は「繁華街地区」とされ、道路右側(本件土地側)は、高速川崎

 縦貫道大師ジャンクションが未完成のため「大工場地区」とされている。そのため、路線価が約半分の評価

 となっている。

  しかし、大師ジャンクションの完成(近々完成。現在は、殿町地域まで川崎縦貫道は供用されている)に

 ともない、用途地域の見直しが行われ、道路両側が同一評価を受けるに至ることは自明のことといってよい。

 原判決は、こうした基礎的事実をも無視している判決であり、到底その取消を免れない。

3、まとめ

 控訴人の本件監査請求に対し、監査委員は、「東京高等裁判所の確定判決に従って川崎市が代金額を支払わ

 ない限り大師河原の土地が三田工業の所有名義にある状態は継続し、このことは三田工業の違法状態を川崎

 市が放置しているという道義的批判に通ずる。また、近い将来この土地が第三者に転売されるような事態に

 なれば、「所有及び正義の実現」が困難になることも懸念される。」

 と警告した。

  事実の推移は、この警告どおりで川崎市当局が何ら手を打たないままこの問題の解決を放置しているなか

 で、抵当権者である三井住友銀行は、2003年(平成15年)7月1日に三田工業の債務不履行(貸付金未

 払)を前提に本件土地の競売申立を行った。現在、この手続きは占有状態の調査、鑑定評価も終了し、入札

 価格の確定作業に入っている。

  法の正義の実現と行政の公正さという公益目的は、川崎市長の継続的不作為の中で踏みにじられようとし

 ている。

  何もしない「悪い奴」ほど救われるという判決の論理は、法治国家の名において排斥される必要がある。

 「悪い奴ほどよく眠る」は、映画の中に閉じこめ、正義が通る世の中が確立される必要がある。






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政務調査費についての一意見 (川崎唐変木)



 政務調査費って何か知っていますか?市会議員の人達が色々な政策を調査研究し政治活動に生かすための経

費がかかりますよね、それを税金でまかなってあげようというものです。

 正式には、地方自治法第100条13項及び14項、及び川崎市政務調査費の交付に関する条例に基づき、

市政に関する調査研究に資するための必要経費に限定して、議員一人当たり月額45万円が交付されています。



 ところで、会社だけでなくマンション管理組合などの身近などんな組識でも、経費を使ったらお金を払って

くれる人に対して領収書は提出しますよね。電車賃などの領収書の無いものはそれ用の報告書を作って出す事

になります。

 ところがなぜか、議員さん達だけは、適当な項目だけ示すだけで政務調査費を全額もらえるのですよ。何と

も不思議な釈然としない運用がされている状態です。実際にオンブズマンが情報公開請求しても、一部の政党

を除いて、適当な項目しか教えてくれないのです。



 税務署に税務申告する時、普通の会社だと、経費支出がきちんと領収書などで証明されていないと利益扱い

となり税金がかかってしまいます。

 政務調査費もきちんと証明できなければ、税務署から所得隠しと言われても仕方ないのではないでしょうか?






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(仮称)大宮中幸町線道路築造に就いての公開質問状
                                



 市長におかれては日頃市政に奮闘しておられることに、一同深く敬意を表するところであります。

 さて、表題の件でありますが、去る11月14日付の読売新聞紙上に道路工事に絡み談合情報が寄せられ、情報

通りのJVが落札したと報じられました。振り返れば市が10月15日以降電子入札制度を導入し、落札率が75%

台に下がったとの喜びの市長談話を各紙紙上で拝見したばかりであります。

 早速市のホームページ上で落札情報を検索したところ、この件の落札率は実に98.239%、この落差は計り知

れないといわざるを得ないところであります。

 そこで、以下に就き市長の見解をお尋ねいたします。



A JVによる入札に就いて



@何故JVによる入札なのですか。

AJVに限定するための基準及び決定手続きを公開して下さい。

B本件の場合、JVにすることによって何かメリットが生まれるのでしょうか。

Cもし談合が行われていたとすれば、一般競争入札にもかかわらず業者間で入札業者が 分かっているためと

 思われますが、どうして分かるとお考えでしょうか。

D入札状況からみて限りなく談合の存在を疑わせるものですが、何故横浜市が行ったよ うに、談合の噂のあ

 った業者を排除せず、またJVの組み換えを求めず、そのまま入札を強行したのでしょうか。



B 落札価格に就いて



@落札率98.239%は高いと思いませんか。

A最低入札額と最高入札額との差は率にして1.139%しかありません。6社が参加した競争入札でこうした僅か

 の差の中に6社が犇いている状況をどう判断されますか。従来の回答のように各社の平均的な積算能力の向

 上とお考えでしょうか。

B市は低入札調査基準価格を75%に設定しております。競争原理が働かない基準価格とは何でしょうか。

Cあるいは市の積算方法を再検討する必要があるとお考えでしょうか。



 ご多忙とは存じますが、2004年1月15日までに文書でご回答下さるようお願い申し上げます。



 資料2葉を添付いたします。





 この公開質問状に対し市長から2004年1月15日付(文書記号15川財契第9937号)で回答があった。






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ミューザ川崎警備業務委託指名競争入札
に関する申し入れ書



川崎市長 阿部孝夫 殿



           2003年12月19日



申 入 書



 市長には日頃市政に傾注の趣、大いに感謝致しております。

 川崎駅西口再開発ビル「ミューザ川崎」のシンフォニーホールおよびオフィス棟の1部の「警備業務委託

指名競争入札」で市内の業者が「1円」で入札したと新聞報道された。又「清掃業務」についても「1円」で

同一業者が落札したと報道されている。発注主の川崎市文化財団は川崎市が100%出資する法人であるが、

法的には問題なしとしてこの入札を認めた。

 1円で業務が遂行できないことは明らかであり、企業側は初入札時に安値で落札し、次回以降は実績を標

榜し随意契約を勝ち取り契約を継続することを意図し、その段階で元がとれるような値付けをしようとして

いると考えざるをえない。これでは来年以降のコストが適切であるわけがなく市民としておおいに不安であ

る。また川崎市関連の業務を落札できるのは当初に収益を得なくてもやっていける体力がある企業に限定さ

れてしまうという弊害を生むことにもなる。

 企業に対する評価は、価格・技術・サービスなど総合力を当然評価するわけだが、価格以外は評価しにく

く、価格が落札を決めるポイントとなるため、1円入札などという超安値入札が起こるわけである。これは

制度の問題でもある。当事業は川崎市のシンボル的事業であり、川崎市は市民に対し明朗な運営がなされて

いる事を示すことが肝要である。よって川崎市が下記を実施又は指導するよう申入れる。

 公務ご多忙と拝察致しますが、2004年1月15日までに、ご回答下さるようお願い致します。



1)次回以降の契約は随意契約は絶対に行わず、指名競争入札(出来れば一般競争入札) を実施し、1円

 入札者も他の業者と同一に扱う。その旨を落札した業者に通知する。

2)非常識な低価格入札を阻止する制度を確立する。      

                            以 上             




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十字路
★ 総選挙で感じた事 (佐々木玲吉)



川崎市の港湾

         2004年1月27日     望月 文雄

 1月26日、篠原代表幹事から川崎市が「KCT破産・保全管理命令の申し立て」を行ったという保全

管理人らからの文書がファックス送信されました。それといっしょに、「KCT従業員の皆様へ」という

保全管理人らの文章と、オンブズマン代表者らの声明文が添付されていました。来るべきものが来たとい

う思いを強く受けました。

 27日朝、商業新聞数社分を買い、記事を比べましたが、関連団体の意見を記事にしたのは、神奈川新

を覚える。早急に協議の場を設けると同時に、川崎港再構築のための誠意ある努力をすべきだ」などとい

うコメントを発表、という記事に共感をおぼえました。(1月8日に彼らの抗議文はファックスで届きま

した)。

 KCTの鈴木社長の「市が減免停止と破産手続きをほぼ同時に行ったことはあまりに請求で、理解しが

たい」と苦渋の表情を浮かべた」という毎日の記事は、KCTと市長の間の溝を感じさせます。

 ところで、KCT設立の動機が分かりませんので、川崎港湾振興協会の設立の経緯を調べることが出来

るかと考え、今月の半ばに議会事務局へ行き、職員に事情を話しなしたが、出資法人の設立にかんしては

市議会は関与していませんので、説明は出来ませんと断られました。帰宅して、昭和62年7月17日の

日本海事新聞の切り抜き記事を丁寧に読み返しました。

 「ソフト面の充実に乗り出す」という記事の中頃(最上段から下の段への変わり目に「川崎港運協会が

中心になり」という文が目に入りました。川崎港湾振興協会はKCTを立ち上げるために設立されたこと

は自明のことですが、その母体となる経緯が分かりません。

 そこで、川崎港湾振興協会の初代会長である、伊藤市長と彼のブレーンであり後継者となった高橋前市

長の経歴を職員録で調べて見ました。伊藤市長は昭和46年に市長に選出されました。一方、高橋清前市

長は昭和44年に教育委員会・学校教育部の指導課長でした。12年後の昭和58年に助役に就任、平成

2年に20年の長期に渉って市長の座にあった伊藤三郎に代わって、市長に選出されました。この、代替

わりの課題として、受け継いだものが、川崎港にハブ港を作ろうという事柄であったのでしょう。それは

1986年から1990年度・翌1991年度から1995年度の港湾整備計画という運輸省(現国土交

通省)が立案した国策に準拠したものに違い有りません。

 「21世紀にむけ、川崎港にとって東扇島の発展、湾岸道路建設、産業経済の振興の3点が重要だ。今

までの工業港としての実績を踏まえ、振興協会の発展に結びつけたい」という伊藤会長の挨拶を、高橋は

市長選挙に勝利した時に不変命題としたのだろう。この姿勢が「事前市場調査」の必要性を口にした平成

2年8月8日・川崎港コンテナ問題検討委員会・管理運営部会記録に、「川崎港における荷主のコンテナ

貨物量利用調査(輸出入貨物)の必要がある。」という意見を無視して、KCT設立を急いだ原因ではな

いでしょうか。

 22日、サイエンスシティ川崎シンポジュウムに参加しました。報告するような内容ではありませんの

ですが、1点共感を覚えた事を紹介します。「地域におけるイノベーションの方法」という主題で講演し

た古川勇二教授が最後に示した「TAMAの挑戦〜売れるものづくり」というパネルに『TLOのシーズ

活用支援→アイデア→事前市場調査→研究開発→試作品の開発→等とまだ幾つかのセクションが示されて

いましたが、それらは割愛します。「事前市場調査」は起業家にとり不可欠な重要項目であるというパネ

ルの絵図に納得しました。

 埋め立て地にある諸企業の企業内埠頭として建設され実績を持つ、川崎港であることは自明であったの

ですから、幾度かに分けて勧められた国の港湾整備計画に便乗してはならなかったのでしょう。

 高橋市政の遺物であるサイエンスシティ川崎というプロジェクトに、阿部市長も期待を寄せているよう

ですが、私は企業の活性化を目的にした、このプロジェクトで、臨海部を含めた川崎市の活性化が図れる

とは考えません。浅野総一郎は時流に乗って、臨海部を埋め立て、近代的工業立地を画策、成功しました

が、遠浅の海岸を利用した庶民の生活の場としての海という視点の復元が率先されてしかるべきであると

考慮します。大手企業の独善から脱出する必要があるのではないでしょうか。了 

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★ 行政改革はまず議員の足元から (佐々木玲吉)






 国会議員、県会、都会、市会そして村会に到るまで、今議員になると数々の特権に恵まれます。国会で

 は、議員宿舎、JR券、航空券等々、地方議会でも開会中の日当、交通費、そして視察と称する国内外

 の旅行等、一般の市民であるわれわれにもすぐに思い当たります。

 これらは全面的に否定されるべきものとは思いませんが、オンブズマン大会でも常々問題になり、各地

 で話題なるのは政務調査費についてです。東京都議会議員は一ヶ月60万円、神奈川県議会議員も同額と

 聞いています。川崎市議会議員は月45万円です。

 これらの使途は研究研修費、視察調査費、資料費、広報公聴費等となっているのみで領収書は開示せず

 となっています。

 われわれかわさき市民オンブズマンでは政務調査費の透明度を上げるため2001年2月市議会議員全員に

 アンケート調査を行いました。その結果は会報23号に掲載されましたが、各政党の見解を掲げてみます。

 自民党「現時点では、これまでどおりの方法による」……自らの会派で領収書を保管する。開示せず。

 公明党「現在私どもが行っておりますように、きちんと各会派がしっかり保管すべきであり、公文書と

 いうことについては、現時点では開示対象にしない。」

 市民同志会;「議員政務調査活動の現状では領収書は公文書の添付要件とせず、各会派が夫々保存すべ

        き」

 民主市民連合;「領収書等の扱いは、会派が責任をもって保管・管理すること。」

 日本共産党;「決算書のみでなく、領収書を含む出納帳の市民への公開は必要。使途不明の税金の使い

       方は許されません。」

 以上の結果、領収書公開の条例化案は否決され、今に到っています。



 ここで興味をひくのは「品川くみんオンブズマンの会」の活動です。

 彼らがどのような方法で領収書を入手したか不明ですが、区長から自民党会派に支出された政務調査費

 の内訳、領収書を公開しました。同会会報24号の一節です。「この研究費として支出された経緯の内訳

 は別紙一覧表のとおり、その98%が飲食経費であり、支出先(飲食店)は焼肉店、中華料理店、鮨店、

 しゃぶしゃぶ店などおよそ調査研究とは何らの関係もない飲食店舗である。

 なかには六本木クラブ(9月25日)ライブハウス(11月28日)など遊興費と思われる支出も含まれてい

 る。」そこで品川くみんオンブズマン諸氏はその返還を求めて訴訟に立ち上がりました。一審原告敗訴、

 しかし高裁では原告の言い分は通りました。(詳細については同会報29号参照)

 それでは政務調査費はどのように扱われるべきものでしょうか。

 議員は議会活動をするにあったって、次々に起こる諸問題を調査・研究する必要はあります。そこで私

 見ですが、政務調査費総額を予算として議会事務局が管理する。議員は事務局に申し出て諸々の案件を

 調査・研究してもらうとしたら如何なものでしょう。アメリカでは既にそのような制度になっていると

 聞いています。

 議員個人に現金が渡されるから、第二の歳費、非課税所得と勘違いするのではないでしょうか。

 今税金の無駄使いを排し、使途を明瞭化して行く上から政務調査費も論外ではなく、その透明度を上げ

 る事は当然に必要な事です。今迄おいしい汁を吸っていた議員の反発は強いでしょうが、行政改革は、

 まず議員の足元からやって行くべきではないでしょうか。ご一考をお願いします。





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★ これが日本の首相か (清水芳治)



 多くの国民が注目する中、9日の自衛隊イラク派遣の閣議決定後に行われた首相の記者会見をテレビで見

 た。従前と代わり映えしない言辞ながら、われわれが首相に選出した小泉氏は派遣の大義名分を日本国

 憲法の前文に基づくと、弁明、これ努めていた。

 だが、帝国軍隊解体直後の日本が、果たして首相が述べるように武力を装備した集団を海外に派遣する

 状況を想定することが出来たのだろうか。

 憲法前文と読み比べて頂きたい。アメリカのイラク侵攻は国連の決議に基づいたものではない。それに

 もかかわらず小泉首相はいち早く、アメリカを支持した。もし日本がアメリカの侵攻作戦に反対したと

 しても、アメリカの計画を阻止し得たか否かは分からないが、憲法前文に基づいて行動すれば、少なく

 とも「政府の行為によって」アメリカの戦争を煽り立てる、愚を犯さなかったとことだけは疑いない。

 テロと殺戮の現状に対し他の対応を選択することが可能だったのではないだろうか。

 国連を無視して自国の権益を第一とするあの強大な「ならず者国家」の情報収集能力から判断して、私

 はアメリカのイラク侵攻をかねがね日本の故事に倣えば、大坂夏の陣、即ち外濠(=大量破壊兵器廃棄)

 を埋めさせた後、本丸(=フセイン政権)を攻略した狡猾な帝国の策略と考えているのだが、政府はア

 メリカの発表を疑いもしなかった。

 首相の説明を聞いて日本国憲法は呆然として言葉を失うであろうし、憲法をこんな風に読む小泉氏を首

 相に選んだ日本国民は、真に恥ずかしい国民としか言いようがない。

  (本稿は昨年12月9日新聞投稿し、没となったものである。)