かわさき市民オンブズマン 第7回定例総会

日時:2003年5月10日(土)13:30〜16:20
場所:川崎市中小企業・婦人会館
出席人数:約30名(あまりに天気のいい日であったので、行楽に出かける人が多かったせいか
参加人数が少なかった。)
他に、読売新聞社などの記者が取材に来ていた。
 

第1部 講演「長野県は談合を許さない」

講演者・大川隆司弁護士(全国市民オンブズマン代表幹事)
資料:浅川ダム関係の新聞記事および入札制度関係の資料

―司会の江口さんからあいさつがなされた。―
大川さんの紹介として、長野の田中知事に依頼されて談合問題に対応したことが話された。

○講演の概要
 田中さんが、脱ダム宣言をされたのは2年前であった。ダムというのは期間が経つと砂で埋まってしまう。
50年100年の洪水に耐えるというが、土砂がたまるのでそんなにダムが持たない。浚渫するぐらいなら直接川
を浚渫すれば良い。あと、森林の保水力を増やすことにした。前知事が契約した123億円の浅川ダム工事の契
約を解除した。2000年にも談合情報が流れた。この時に、談合があれば契約を解除されてもしようがないとい
う一札をとってある。
 田中知事から電話があってびっくりした。長野の上條さんからアメリカに一緒に談合問題の調査に行った、
私や松葉さんの名前が出たようだ。私が元公取委の鈴木先生を推薦した。適正化委員会はどこにもあるが、3
ヶ月に1回ほど集まっても談合の白か黒かを判断するのは無理。入札制度改革は5人の委員がオープンに審議
している内容を、田中知事がすぐに試行的に始めてしまう。答申が出る頃には試行結果が出ているので、効果
的な答申ができた。
 浅川ダムの談合認定では、昨年の9月浅川ダムの契約解除にともなう損害賠償請求があった場合に、耐えら
れるだけの根拠を示す必要があった。1回審議があると2万円もらえるが、飲み会で1万円、カラオケで5千
円出すとほとんど残らない。(外部から)いいがかりに近い発言もあった。信濃の国の人でない人に決めても
らいたくない等。
 談合認定では、赤旗が報道した何年も前の山崎文書(営業会議で配った資料)に浅川ダムの本命は前田建設
だと書いてある。26工事中22の受注業者を当てている。談合がなければ不可能である。(山崎文書とは1次下
請けの山崎建設が受注業者から仕事をもらうための文書。)
 山梨や福井でも同じような業者が集まっている。これらは7割以下で落札されている。なのに同じ業者が長
野では116%を超えるような価格で入札札を入れている。同じような工事で値段がこんなに変わるのはおかしい。
 山梨や福井では競争したが長野では談合したということ。
その後、業界紙に(談合認定は)けしからんという記事が載ったので、 間接的事実の積み重ねで証明できれば
いいという反論をしておいた。

(新しい入札方法では、)あまり安い札は失格とする。そのものさしは、先頭集団5社の平均を目安として決め
ている。 また、検査部門を30人ほど充実させた。また、検査官は6人ほどおいた。前は、当該市町村の中で10
社を選んでいたので、名前もわかっているので、談合をやりなさいというような形であった。入札方法を変更
した結果、落札率95%が75%から46%まで低下した。
 桐蔭横浜大学が調べた入札制度の変遷を見ると。都道府県や政令指定都市では、一般競争入札が増えている
が、小さな市ではかえって減っている。
 公取委が取り上げた談合件に対して、自治体が返還要求をしているが、40万件中の1%にも満たない。日常
的なデータベースを整備しておき、おかしい札を見分けられるようにしておく。談合情報が飛び込んで来てか
ら調査を開始しても間に合わない。
長野県に対して長野市は全然違う。談合破りの業者を排除するために、3kmの道路工事をするのに単独では
なくJVでなければ入札できないようにした。官製談合ではないか。
 川崎も落札率が高い自治体なので、今後の活動で入札制度改革を進めてもらいたい。

司会・江口
資料もわかりやすくて大変参考になった。談合を追及していきたい。
質問コーナー
Q 街宣車がきたりしなかったか。
A 来たらかえってやりやすかったのだが、来なかった。
Q 地元業者を育成することができるか。
A 一つ上のランクの仕事を受けられるようにしたので、下請けではなく元請けで仕事ができる。
   大手ゼネコンとのJVという条件を無くした。地元JVや単独で請けられるようにチャンスを増やした。
  しかし競争はちゃんとやる。
Q 川崎北部医療施設の談合問題では、談合情報通りの落札になったが、入札価格は少し安くなった。本体工
    事で94%。設備で80%台。オンブズマンの提起でそうなった。情報提供者が身元を明かせない。談合かど
    うかは入札価格が目安になる。
A 本体で94%はまだまだ下げられると思われる。設備工事では競争が行われたようだが。警告をすれば、同
  じ業者が請けても安くなる。
  見積もり内訳書をとっているので、それを資料としてデータベース化するのが大事。相場がわかる。
  (入札ごとに)価格的な矛盾があれば出来レースである。
  (競争した価格でも)工事の種類によって違うので、70%にならなければいけないというものではない。
Q 土木工事が6000件もある。13年から14年になって2割減っている。トータルの額はいくらか。
A よその村にまで行く業者の数は少ないが、村の中で仕切れなくなっている。 トータル2000億が1000億円
  に半減した。
Q 予算のあまりはどうするのか
A そこまでは決まっていない。国の補助金はあまったら返さないといけないが、現実には翌年度の補助金に
  まわしてもらっている。国土交通省も(この方法を)認めているようだ。
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第2部 総会


司会の望月さんから開会宣言がなされた。
1、篠原代表幹事が開会あいさつを行った。
 (川崎市でも)入札委員会が始まった。(市長には)長野並にやればいいのではといっておいた。北部医療
  施設問題を契機に委員会を作った。ちゃんとした弁護士が(大川さん達の)他に神奈川にいない。委員が
  大切なので、筋の通った人を入れる必要がある。緊急の申し入れ行動を起こす。
  KCT問題、川崎市が債務保証したのかどうか。調べた結果債務保証していた協定書が出てきた。
  (債務保証を)途中で念書方式に変えた。経営状態が悪いので毎年、念書を入れていた。民間方式で出来
  るのかどうか。闇社会の紳士がでてきかねない。
  南伊豆市民施設用地では土地の紹介者の弟が組関係の人であったともいわれている。一つ一つオープンに
  していく事が必要である。(今回も)刺激的なあいさつになってしまいました。

2、清水さんから、活動報告がされた。
・第三セクター
 昨年度は、KCTに取り組むということを総会で決議し、鑑査請求、裁判まで行っている。最初の鑑査請求以降
  の(市からKCTへの)支出は不当な支出なので、前市長と現市長に損害賠償するよう請求したが、棄却され
 た。そこで、改めて広く市民に呼びかけて集団鑑査請求を行った。(その参加人数の多さから)KCTは一般市
 民も関心を持っている問題であることがわかった。しかし監査結果は、会社の解散は時期尚早であるとして
 棄却された。ただし外部監査人としては、市は株主として、問題解決する必要があるとの結果を出している。
・談合問題
 北部医療施設の談合情報を市に通告した所、いったん入札を延期した。(そして談合発覚時の)ペナルティ
 ーを25%に増やした。また入札業者に事情聴取したが、この調査は通りいっぺんのものだった。私たちが鑑
 査請求した所、鑑査委員が見かねて、きちんと調査するべきだとの鑑査結果が出ている。
・裁判関係
 市への原状回復請求裁判において、大師河原の土地を返還することで結審した。まだ市は買い戻していない
 が。弁護士費用の支払裁判では、300万円支払えとの高裁判決に対し、市が上告した。
・組識の活性化
 談合問題で活発になっている。皆さん、拡大幹事会に出てきて下さい。

3、渡辺さんから会計報告がなされた。 
 各項目について具体的な説明が行われた。
 予算よりも新規会員の増加があった。これは初めてのこと。また、寄付金が予算額とぴったり同じであった。
 川崎合同法律事務所立替え分を今年精算する予定。
 特別会計項目として、KCTの鑑査請求手数料を1人1000円充て集めた分がある。

4、司会が辻村さんの監査結果を報告した。
 監査の結果適性であると認めることを報告した。

5、渡辺さんから予算案が説明された。 
 KCTの特別会計からの繰入金は、訴訟費用として使う予定である。

6、江口代表幹事が、2003年度の活動方針案を説明した。
 以下方針案を説明するが、方針案に書かれていないことも、新たな問題には対処していく。(詳しい内容は
 方針案を参照してください)
@税金の無駄遣いをただす活動
 談合の阻止、制度面の改善と実際の案件に対し行動する。地下鉄のアンケートが行われているが、大規模工
 事を今始めるのは問題がある。注目して問題点を見極めていく。第三セクター関連を追及する。川崎住宅、
 FAZなど。塩漬け土地の追及を続ける。保養所問題では、南伊豆の時にさんざんやりあった。最近既存保
 養所も整理すると発表している。我々に先見性があったということ。

A法廷闘争
 行政がいうことを聞かないので司法の力を借りている。オンブズマンの弁護士メンバーを中心に活動してい
 る。勝ったといってもおわりではない。南伊豆の土地がきちんと処理されるよう見守っていく必要がある。
 汚職による土地払い下げ事件では、刑務所に入った人の土地のままでいいのか?300万円(の弁護士費用で
 も市は)上告している。
 水道メーターは和解になりそうである。

B行政、議会への働きかけ
 市長との面談は4月25日に行われた。こちらから言いたいことは言ってきた。
 今度いつ会うかは欲求不満が高じてきた頃でないとだめと思う。だいたい年に2回ぐらいは会えそう。前の
 市長よりはずいぶん良い。
  南伊豆の問題で誰か処分をすべきではないかと言っておいた。こちらが前市長を相手に裁判できればいい
 のだが。それから「官製オンブズマン」が「オンブズマン」という名前を使うのは失礼だといっておいた。

C組織活性化
 会員拡大が久しぶりにはかれた。
 ホームページを拡充していく。
 今年は全国大会が仙台で行われる。できるだけ多く発表したい。
 多くの人が参加されて損はない大会なので、皆さんふるって参加しましょう。

7、人事案が、清水事務局長から提案された。
(内容は人事案を参照してください)

8、一括質疑
 Q 会が発展するための提案として、市民集会の開催は具体的にどういう方法でやるのか?議員は市民の集
  会に来て報告する責任があると思われる。不真面目な議員はやめさせていかなければいけない。それが市
  民の力である。大衆に対して呼びかける生きた活動をしてもらいたい。
 A 過去には、裁判がある時に、膨大な資料をもって学習会をやった。たとえば大山ふるさと館や麻生市民
  館で行った。
  今年は、KCT集団鑑査請求に続く裁判闘争の報告会をやりたい。
  また 100条委員会に賛成反対の結果を公表したり、成績査定を発表したりしていきたい。政務調査費の公
  表については、ほめたりだめなところをけなしたりしていく。
 Q すばらしい方々の活動に全面支持している。
  今日の新聞に交際費の情報公開成績が出ていた。大いに効果がある。気分爽快である。
  縦貫地下鉄の問題では、地理的にはあった方がいいが、地域によって意見が分かれているのではないか。
  自分の中でも意見が分かれている状態である。
 Q 小さい事でどうやったらいいのか教えて欲しい。
  たとえば、岡本太郎美術館では、工事をやめると補償金がいるので建てた方がいいと言われたがほんとな
  のかな?鉄建公団がお金をかけて作った資料代などはどうなるのか?損失補償問題があるので結局建てて
  しまうといわれた。
  区長公選ではないので、公平な税金の使い道になるのか?
  役所が働かずに外注にたくさん払っている。市民に直接払って欲しい。
  以上、主婦感覚でいいました
 A おやじ感覚で答える。鉄建公団がお金を使っている事は事実であり、十分な金で、地下鉄の宣伝をして
  いる。
  地下鉄の専門委員は創るための委員であり、早く作れという答申を出した。阿部市長はバイアスがかかっ
  ているのでは
  ないかと言った。普通の市民部会は、おざなりにやるが、今回(の市民部会)は積極的にやった。
  今まではコンサルタントにお金を払っても、市民にいい答申が出てこなかった、単なるセレモニーであっ
  た。官製オンブズマンもそうであり、70万も毎月払うことはない。
  違約金なんかも払えばいいじゃないか。
A 長野の例は、悪い事をしたものに請求権はあるのかどうか?請求権はないというのが理屈である。
  岡本太郎美術館では、アセス条例を変に使った。
  若干損しても、割り切りが必要だ。嘘付いたやつに、もうけさせるべきでない。アクアラインを作ったも
  の達に縦貫道路を作らせるべきでない。
  ゼネコンが「小さく産んで大きく育てる」と言った。このような縦貫道はやめるべき。二重の自然破壊が
  行われている。総合的に対処すべきである。
A 中原区の健康の森の集まりにコンサルタントが入ってきた。コンサルタントが議事をとったり、通知を出
  したりしている。これらにかかる経費は、情報公開請求によって調べていくしかない。

以上の議案(予算、活動方針、人事案)は一括承認された。

望月さんから新年度役員の紹介がなされた。
新任幹事の小倉さんと金澤さんからあいさつがなされた。
佐々木さんから閉会挨拶。
 本日はありがとうございました。
江口さんから今年の方針が示されたように、北部病院の談合はあまり値段が下がらなかった。KCTの補助もまだ
続いている。リエゾン研究会が市民に知られないようにすすんでいる。臨海部開発は数千億円の規模である。
オンブズマンとして、市民として注意していかなければ、税金の無駄遣いと自然破壊が行われてしまう。頑張
っていきましょう。
以上




:
     
日頃抱く市政への疑問 (中原区 M.R.)
                                
日頃抱く市政への疑問
中原区 M.R.

市の行政の進め方を見ると計画段階では市民に何も知らせず、決定された事業を発表するというやり方が目立つ
んです。例えば、岡本美術館。その上、岡本美術館建設では市自身が条例違反を犯している。教育委員会が主導
したアセス逃れなのだが、建設予定地を分割しアセスにかからない面積にして工事を進め、同一事業の付帯工事
部分を予定地から除いているわけで、明らかにアセス条例違反だった。まるでディベロッパーにアセス逃れの手
法を教えているようなものです。市は自分でつくった条例を自分で破る条例違反がたくさんあり、篠原さんの言
われたように一つでなく多方面から攻めることですかね。
 日本共産党の徳竹議員は議会質問で、江川の親水公園の開園式典が6月1日にあるのですが、市には予算がない
ので、関係者に費用を出させて、市長を呼ぶというとんでもないアイディアが市職員から提案されていることを
明らかにしました。この迷案は退けられましたが、他方では、区政推進会議でも、親水公園計画でも、その他も
ろもろ、まちづくりに関係することにコンサルタントが入り込んでいます。どのくらい払っているか分かりませ
んが、コンサルタントじゃなく職員が自分で会議の準備なんかすればコンサルタント料なんか要らないんじゃな
いですか。
主婦感覚からすれば、そんなにお金がないのに如何してコンサルタントを頼まなければならないのか、全く分か
りません。こうした点もオンブズマンとして考える必要があると思います。

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