かわさき市民オンブズマン会報 第33号

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***もくじ***

● 今こそ、談合問題の解決を(代表幹事 篠原義仁)
● KCT 320名で集団監査請求(渡辺登代美)
● かわさき港コンテナ・ターミナル存続への疑問(望月文雄)
● 水道メーター談合で裁判所が和解勧告(篠原義仁)
● 十字路
   ・たかが千円 されど千円(佐々木玲吉)
   ・佐藤貞男格言新集--その14 (佐藤貞男)
   ・KCT集団監査請求に想う(清水芳治)

● 会計報告

今こそ、談合問題の解決を(代表幹事 篠原義仁)



今こそ、談合問題の解決を

代表幹事 篠原義仁

 原稿締切直前の1月23日、川崎北部医療施設談合事件住民監査請求の決定通知が送付されてきた。

 「向う3軒両隣」に位置する監査委員事務局は、通常はTELをして、各種文書の配達、打合せは直接来

所し行っている。しかし、「敵(役所)もさるもの」、1月22日(木)にかわさき市民オンブズマンの定例

拡大幹事会が開かれることを熟知していて、1月22日に郵送する旨のTELを入れ、1月23日送達の手続を

選択した。

 行政の民主的改革は、こうした手続面からも切り込む必要があるのであろう。 北部病院談合の詳細

は、会報32号(2002年12月2日号)で報告したが、私たちオンブズマンは有力な内部情報の入手に基づき、

談合の結果、不当につり上げられた請負工事代金に係る損害金の返還を行なうよう川崎市に求め、同時

に談合の温床となっている現行入札制度の改善提案を川崎市長に行った。

 監査請求の結果は、従前と同様に味も素っ気もなく私たちの請求を棄却した。

 その理由は、「現時点において本件新築工事の入札に関する談合行為の存在を確認することができな

かった」とするもので納得のゆく説明を付していない。従って、「審理不尽」というほかない。

 他方、今回の談合情報の確度が高く、また、オンブズマン以外にもマスコミ関係、そして川崎市にも

直接談合情報が寄せられていた関係もあって、監査委員は、総論棄却のなかで各論的には心情的にオン

ブズマンへの同意を示した。

 曰く、「談合の存在については確認できなかったが、談合は憎むべき犯罪であり、談合が行われるな

らば川崎市及び川崎市民に不当かつ甚大な損害を与える」、一方、「現行の川崎市の談合防止策は、談

合情報対応マニュアルこそ定めているものの、業者に対する事情聴取の方法が簡略であったり、公正入

札調査委員会がごく少数の職員で構成されているなど、さらに改善を加える余地がある」とし、そして

「市は、(前記の諸点の改善を行うことに加え)談合防止対策に対する調査、研究を深め、入札制度の競

争性、公正性、透明性につながる方策の検討を一層進めるように」とした。

 その基礎には、談合情報が寄せられるなかでの市の対応、調査、業者からの事情聴取がおざなりで

「是が非でも談合の存否を確認したいとする姿勢を窺うことができなかった」「捜査権・調査権をもつ

関係機関に対し談合事実の存否解明をねばり強く働きかけるなど、市の積極的姿勢が必要」、「情報ど

おりの業者が落札したのに是非ともことの真正を明らかにしようという熱意が伝わってこなかった」と

いう事実認定が存在している。

 市は、私たちの提言をうけて、入札制度の部分的改善として、遅ればせながら平成15年度から電子入

札の導入を予定している。しかし、抜本的な改善なくして談合を根絶する

ことは不可能であり、私たちの2002年11月25日付申入内容が直ちに実施されるべきである。 






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KCT 320名で集団監査請求(渡辺登代美)

                                 



1 監査請求の申立て

年の瀬も押し迫った昨年12月24日、KCT(かわさき港コンテナターミナル)に対する集団監査請求

を行いました。

請求の内容は、「KCTの業績については、川崎市作成の収支見込を信用することはできず、赤字体

質の改善を図ることは不可能であり、早期の倒産を免れない。こうした状況の中で、川崎市は出資

50.8%の筆頭株主として会社整理もしくは更生手続開始の申立てを行うべきであるのに、これを怠っ

ているので是正すべきである。」

というものです。

併せて、4人の監査委員の全員一致でなければ結論を出せない川崎市の監査制度の限界、また過去2回

にわたるKCTについての私たちの監査請求に対する不充分な監査結果に鑑み、外部監査の採用を請

求しました。



2 多くの人たちが賛同

前号の会報による呼びかけ、また会員各自の活発な活動に応え、川崎市内在住の多くの方々が請求人

として名を連ね、市外の方からはカンパを頂きました。年末の慌しい中での集約であったため、@別

の会員から依頼されて2枚の監査請求書に署名してしまった方、Aたまたま印鑑を所持しておらず、

拇印で応じてくれた方、B川崎市内に居住してはいるのだが、住民票が請求書に記載された住所地に

ない方、が若干おり、せっかく請求人として署名を頂いたのに正式に受理されなかった方がいました。

外部監査については、私たちが請求したとおり、採用されました。

確かに監査請求書に署名したはずなのに、受理決定と外部監査採用の通知が届かない、という方がい

らっしゃいましたら、上記AまたはBの理由ですのでご了承下さい。



3 意見陳述にも多数の参加を!

最終的に、監査事務局に正式に受理されたのは、1団体(かわさき市民オンブズマン)+320名です。

私たちとしても、これだけ多くの方々と一緒に監査請求をするのは初めてです。逆に言えば、KCT

の経営に関しては、非常にたくさんの人たちが疑問を感じているということです。

今後、意見陳述を経て申立てから90日以内に結論が出されます。300名を超える請求人がいるのです

から、意見陳述も100人規模の傍聴人を集めて華々しくやりたいと考えています。日程は未定ですが、

決定し次第、監査事務局から全員に通知がいきますので、こちらへの参加も宜しくお願い致します。





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かわさき港コンテナ・ターミナル存続への疑問
(望月文雄)



川崎市コンテナ・ターミナル株式会社(以下KCTという)の平成14年3月31日現在の貸借対照表・負債

の部に短期借入金54億円(流動負債)と、長期未払金10億8440万円(固定負債)という科目・金額があ

ります。売上計算書(自平成13年4月1日至平成14年3月3日)によれば、当期売上総利益が2266万9071

円です。これで64億円の利子を賄うことができるのでしょうか。この計算書では前期繰越損益に比

し、当期未処理損失が3億3200万円増加しています。貸借対照表の負債利子の返済金にも向けられな

いということなのでしょう。

 ところで、KCTの設立に関する事情が飲み込めません。財団法人政治経済研究所の作成が発行した

『川崎市コンテナ・ターミナル破綻の検証:その経緯と責任』という報告書の設立経過という記事

の部分からは見えてきません。「川崎港コンテナ問題検討委員会」が発足したとき、「川崎港振興

協会」はまだ、社会法人の認可を受けていませんので、社団法人という肩書きは使えません。「川

崎港コンテナ問題検討委員会」が平成3年7月に「第三セクター方式が望ましい」という報告書も

「社団法人」という肩書き無しで提出しているようです。しかし、これは小さな問題で、『川崎港

東扇島コンテナターミナル・ファズ物流センター問題』と前掲という2つの報告書は素晴らしい報

告書であると考えます。

 私がKCTの基本的問題であると考えていることを記述します。

1 平成6年3月に川崎市議会定例会で出資可決される前段で市民への広報が実施され、コンテナタ

ーミナルの必要性が充分に検討されたのか、という事柄です。市議会の法案成立過程は、定例議会

を傍聴すれば理解できると思いますが、審議討論は半ば形式的で、市長提案の議題は殆ど無条件で

可決されます。よしんば、反対意見が出されても、補足説明、再質疑で採決に入ります。ですから

、議案提出に至る過程、動機・発案が誰、どのような支援団体をもっているかということが非常に

大切です。従って「川崎港振興協会『川崎港コンテナ問題検討委員会』」の設立目的、動機、メン

バー構成を知るということが大切であると考えます。

2 組織のコーポレート・ガバナンス(経営統治責任) 民間株式会社であれば、創立者は出資者に

株式配当を出さなければ、会社の存続の意義を問われ、長期赤字決済など考えられません。「川崎

港コンテナ問題委員会」は不採算性を見越して市長に、第三セクター方式が良いという報告書を提

出したのでしょう。KCTの取締役会長以下代表取締役社長、専務・常務、平取締役上位7人が川崎市

上級職員、若しくは助役経験者という組織です。自己資金の出資ではなく、税金で賄うというイー

ジーさが根底にあり、コーポレート・ガバナンスは全く望むべくもないということが、発足時から

の宿命です。

3 アカウンタビリティ(責任者の説明責任) 日本語での説明を付け難い言葉ですが、民主主義で

の問題検討には欠かすことの出来ない、対話の基本です。事柄の性質・問題点に対する基本的・本

質的説明を意味します。それが明らかにされた上で、賛否両論が討議され、結論への展開が図られ

ます。私はノンアカウンタビリティ(無答責)ということを、戦後補償裁判判決で幾度か味わわされ

ました。「戦前の憲法下の事柄には『国家無答責』である」という裁判所の判決理由で。現在の川

崎市民の税金にかかわる問題をノンアカウンタビリティ(無答責)という姿勢・対応で済まされては

なりません。

4 デスクロジャー(情報発表) KCTの負債合計が64億円(平成13年度短長期)、それに、港湾建設

費用294億円、港湾浚渫費毎年5億円、さらに負債利子を川崎市が負担すると120万人市民(全人口)

で分割しましと3万円を超えます。そのような赤字・高額負債のKCT存続の是非を市民に周知しても

らうことが、デスクロジャー(情報発表)と言います。KCT以外でも地下鉄問題でも、市側の説明資

料が極端に判断が甘い計算で試算されていることが判明しました。KCTでも負債利子・バース使用

料など創立以来川崎市で振替出費(負担)してきています。それらに関しての明確な報告を市民に行

うことを避け、市議会での説明ですませてきました。市民が納得できるような情報発表が今、求め

られています。それがデスクロジャーです。

5 KCTの存続の必要性の検討と民間委託、あるいは廃止の選択の後、の設備、港湾施設の利用方

法等、行政・企業の問題としてだけでなく、市民参加での臨海地区問題対策委員会の開設を望みま

す。以上のことは草の根民主主義に不可欠な事柄であると考えます。  以上 








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水道メーター談合事件で裁判所が和解勧告(篠原義仁)





1 平成8年11月、公正取引委員会は水道メーターの製造・販売業者25社(東京都指名業者)に対し、

談合疑惑に関し刑事告発することを検討し、明けて平成9年2月4日に刑事告発を実行しました。

 この告発をうけて東京高等検察庁は3月31日に公訴を提起し、一方、公取委は3月19日に前記25社

に対し独占法違反行為の排除勧告を行い、25社全社の応諾を経て、4月19日に勧告審決を行いました。

 川崎市長は平成9年2月24日に至り、前記25社のうち川崎市の指名業者21社に対し3カ月間の指名停

止を通知しました。

 これが世にいう「水道メーター談合」事件です。

2具体的には、談合摘発後の平成9年5月20日実施の入札では、口径20ミリ新品メーターの落札価格

は、2990円〜4030円、同修理の単価は1750円〜2000円でした。そして6月20日の入札では新品購入

落札価格が3000円〜3100円、同修理の単価が1980円でした。

 すなわち、談合がない場合の正当な価格が上記価格といってよいものです。

 他方、それ以前の談合があった時期の価格は、本来3000円程度の新品価格が何と1個8800円〜

8900円(平成6年度当初は9140円)という3倍の価格につりあげられ、本来2000円程度の調理品が

5050円〜5080円という2.5倍の価格につりあげられていたわけです。

 水道メーターは7年に1回取替えが義務付けられ、地域区分をして1年に数回入札が行なわれてい

るわけですが、談合の結果、川崎市は莫大な損害を蒙る結果となっていました。

3 この問題の追及は、東京で火がつき、神奈川においてもかながわ市民オンブズマンが結成後

の第一課題としてこれを取りあげました。なお、川崎では、市民オンブズマンが未結成(準備中)

であったため、実体的には、オンブズマン結成後は、オンブズマン組織で裁判を継承することと

して、当時かながわ市民オンブズマンに参加していた、江口武正さん外2名の個人名で、平成9年

5月14日に監査請求し、7月11日に請求が棄却されたため、8月7日に横浜地方裁判所に住民訴訟を

提起しました。

 なお、かわさき市民オンブズマンは、その直後の平成9年8月30日に結成され、実体的に前記3

人の取組みから、オンブズマン組織の取組みとして行う旨を確認し、訴訟活動を進めてきました。

4 この裁判も、下水道談合事件と同様に地方自治法の解決をめぐり、進行に難渋しましたが、

昨年夏から秋にかけて下水道談合事件で、最高裁(第一ないし第三小法廷)において相次いで勝

利し、各地の上下水道談合住民訴訟の勝訴、和解に勢いづけられ、昨年末から勝利へ向けて大き

く展望が開かれるところとなりました(当初は傍聴も多かったのですが、最近ではパタッと止り、

大川隆司・山田泰弁護士中心の法廷活動でそのたたかいが維持されてきました)。

 すなわち、昨年末、裁判所は水道メーター談合事件について和解勧告し、裁判所としての和解

案を示すと約束し、本来1月14日にその裁判所案が開示されました。

 その和解案の骨子は川崎市関係についていうと、20ミリ新品について少なくとも8%、20ミリ

修理品について同じく5%、談合の結果、川崎市に損害が発生したとし、その損害額の11分の10

を水道メーター業者は、川崎市に返還しろ、というものです。なお、弁護士報酬については、通

常は住民訴訟の結着後、新たに請求を起こすものですが、裁判所はそれを先取り的に処理して、

前記11分の1を直接水道メーター業者から支払うよう和解案を提示するに至りました。

 なお、この和解案につき原被告が受諾した場合には、神奈川県、横浜市、川崎市の損害額(返

済額)は合計約1億5600万円にのぼると見込まれています。

 原被告が裁判所案を受け入れるか否かは、基本的には2月3日期日に回答することとされており、

その回答をうけて、和解文案のつめの作業が行なわれる予定となっています(以上、2003年1月

幹事会で報告済み)。

 水道メーター談合住民訴訟の解決から下水道談合住民訴訟の解決へと今、情勢が大きく動いて

います(注、下水道談合住民訴訟は、オンブズマン組織でなく、オンブズマンとは別のいわゆる

労働組合、民主団体の役員の人たちによって裁判実務が担われています)。





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十 字 路
● たかが千円されど千円(佐々木玲吉)



昨年暮、われわれオンブズマンが提起したKCT監査請求は360名の参加となりました。私も家の

近くで、商店街で、あるいは飲み屋で知り合いに声をかけ、チラシや措置請求書を渡しましたが、

「署名だけならやるが千円も出すのかね」と言う人が結構いた事も事実です。しかし数日後印鑑

を押した措置請求書に千円を添えて私の家に持参してくる人がぼつぼつ出て来ました。しかも

「KCTはこのままに放置しておいてはいけない。税金の無駄使いだ。」「このために福祉予算

が削られるなどとんでもない。」等の言葉も添えて、そして「わずか千円でこの問題の核心にせ

まれるんだね。」とも。

参加者はいろいろ見解をお持ちの方もおられると思いますが、わずか一カ月程の間に360名の方が

千円を添えて監査請求に印を押して提出されたと言う事は、KCT問題は、今いかに市民の関心

を集めているかを物語っています。

一方、KCT社長の鈴木氏は「再建計画を着実に実行している。請求は営業的に大変迷惑」とか

株主の川崎港運協会は「今年度償却前黒字が約3千万円になる。」などと発表していますが、あ

れ程の膨大な設備投資をしていながら減価償却を加算しないとは正規の会計処理とは到底言えな

いし、減価償却を加算したらとてつもない赤字になるでしょう。市民の関心と怒りは一層高まる

でしょう。





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● 佐藤貞男格言新集―その14 (佐藤貞男)



芯の腐ったリンゴは食えぬ

リンゴも皮の傷んだ程度なら傷んだ処を取り除けば食べる事が出来、役に立つが、芯が腐って仕舞

ったリンゴは捨てるより仕方がない。芯は心で、人間も心が腐って仕舞ったらこの社会ではもう駄

目人間。

人間の腐った状態にも種々あるが、一口に云うと、自我と社会性、人類の原始時代は弱肉強食、生

き残るには自己を守るを第一義としなければ生き延びて行く事が出来ない時代、自我社会が原理だ

った。だが、現代は産業文化が進み集団社会体制、人一人が生きて行くにも自然の恩恵は勿論だが、

社会機構から受ける衣食住は云うに及ばず、現代文化から受けるあらゆる供給と交流を受けねば生

命の存在すら保つ事は不可能、国家でさえ一国では維持出来ない。世界は一つに成らなければの時

代に来ているのに、原始時代の人間の様に自我を第一義にしている様では原始人が洋服を着ている

様。

この社会は相互社会、一人で生きては行けない。人は何等かの形で社会に役立つ、存在価値又は必

要な人間である事が何人にも課せられた責務、責任だと確信する。それを自分だけ、自分達の

(仲間)階級だけの安全安定、豊かさを目的の生き方は原始人間で時代遅れ処か生きる資格もない。

日本も江戸中期から昭和前期に至るまで下々の暮らしは貧しく苦しかった。農村でも市井でも食う

や食わず、肩を寄せ合って生きて来た。生きて来られたのは親子兄妹、夫婦、ご近所同士が貧しい

乍も分け合い助け合う人情の温もりが支えに成ってであろう。幾度も困難に苛まれても辛さを耐え

生きて来た。戦争もやっと終わり新憲法も出来、これからは皆で心を合わせ手を繋ぎ庶民大衆の為

の新しい社会、主権在民、皆の声が、意志が政治に通り、将来の希望と安定が見え、慶びの社会。

戦後は食糧は乏しく電気水道薪もなく、住まいも粗末、でも皆懸命に働いた、辛かった、でも日本

は徐々に良く成った。朝鮮戦争(他の国の不幸な血で)の特需で急速に経済も景気も立ち直った。

復興が成ったのは他国の不幸、僥倖だったのに、自分達の手柄と信じていた。日本の過ちはその辺

から既に始まっていたのかも知れない。

ベトナム戦争もあり確かに日本は良く成った。だが、国民は麦を食えと云う大臣あり、日本は経済

大国だと外国に叫んだ大臣もあり、そろそろその辺から二極化現象の兆候が現れ出していた。とも

あれ徐々に為政者と庶民、特権階級と大衆とに作られて行った。

60年代(安保後)完全二極化が完成した。その二極化の上層に芯の腐った悪が蔓延し庶民には詳ら

かに公表されず国費が消えて行った。消費税も何時の間にか丼勘定、税も殆ど中央に集まり、地方

自治は中央に頭を下げねば遣って行けず、官庁廻り、防災にしても中央の指示がなければ働けぬ仕

組み、一朝有事の時日本を守れるか。

昔の地方文化が残っているが、三権を任された江戸時代の方が余程行政が進んでいる。地方を見れ

ば分かる。火の消えた様に淋しい。

ついこの前も30兆の国債の公約も臆面もなく破る。図々しさと云うか不甲斐なさ。消費者物価指数

なども発表し、下がった下がったと報じているが、あれは大衆が消費している魚、野菜、肉など生

鮮食品は除いて、電気製品、カメラ、家具、装飾品、衣料等日常買わない物の指数で、実生活の指

数ではない虚偽の指数、確かに衣料、電気製品等は安売りで下がっているが、生鮮食品は殆ど下が

ってはいない。その様な実態を把握してない指数をもって物価は下がっているから年金もスライド

しても良いと発言している老大臣など言語道断。そんな信用の置けない省庁など廃止すべし、それ

でいて消費税を取ると成ると堂々と庶民の懐から取っているではないか。図々しいと云うか許せな

い。

政府が大衆の事を考えるなら自分達の給与、待遇、手当を削ってでも生活必需品は税を取らないの

が当然、あの戦時中でさえ消費税は取らなかったし勤労者から所得税も徴収しなかった。税を考え

るに、こんな重税時代は日本史以来、いや世界史にもないと記憶する。今の政府の存在を疑わざる

を得ない。

先日も塩川氏はこれ以上国債が出せないからと年金の減額を仄めかしていたが、トンでもない。戦

後五十数年殆ど政権を握っていたのは自民党自身ではないか。自分達で作った借金、借入金は自分

達が身を削っても返済するのが社会通念。議員、役人は任期が終われば良いでは済まされぬ問題。

ここで自民党の失政、官僚の無能さ、先見のなさ、対応の鈍さ、等数々あるが、今更述べても詮な

き事、政治とは誰が遣るのではなく、何をどうするかが課題なのだ。勿論それは将来役立つ事に通

じなければならぬ。又、人の心を察し把握する事が肝要。大分前から小泉さんは改革、改革するん

だと云っているが、どう遣って成功させるのか、遣り方、方法の処方箋は全然出て来ない。又デフ

レを止めインフレにするんだと云っているが、何が目的なのか、その先はどう成るのかは分かって

居ないらしい。確かにインフレに成れば税の評価額が上がり、国に税が余計に入って来るから予算

は楽に成るだろう。だが庶民は重税に苦しみ金はないのだ。

金がないから大量消費時代の様に購買力も僅かにデフレに救われ細々乍生きている。インフレに成

ったら食料品始め、生活必需品、石油、総て外国に依存している日本は経済的に収拾の付かない混

乱に陥るだろう。貨幣価値はなくなり、食えない群衆は暴動を起こすやも知れず、ここは税を増す

より人件費を始め諸費を節約するのが政府行政の務め。現にご存知の様に大企業でさえ倒産、外国

企業に乗っ取られている現状、零細企業の倒産、廃業等は数知れず、その主な原因は売れない事だ。

この儘行けば日本の崩壊も間もなしの感。為政者よ右肩上がりの大量消費に支えられた市場原理は

25年前に既に終わった事を認め、頭を切り換えて欲しい。恐ろしい事が襲って来る予感もあり、次

回は愚作ではあるが、真面目に考えた救国の対策を勉強して述べます。

人は、温かい人情と心の腐った奴に立ち向かう勇気は、宝だ。





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● KCT集団監査請求に想う(清水芳治)



私達が呼びかけたKCT集団監査請求に350名を超える賛同者があった。会員数を遥かに超えた数だ。

何故だろうか。私には市政が何か大切なものを忘れていると多くの市民が感じているためのように

思える。

川崎市はコンテナターミナルを第三セクターで立ち上げることを企画した時、何を考えていたのだ

ろうか。

大型コンテナ船が入港するためには大水深でなければならぬ。コンテナ船のコンテナを積み降ろす

にはクレーンがいる。大量に積荷を捌くにはガントリークレーンが最適だ。ハブ港になれば滞留貨

物を保管する倉庫の需要が発生する。倉庫業務が活性化する。確かに。

臨海部問題を抱える市が、臨海部対策の選択肢の一つとしてそう考えたとしても不思議ではない。

だが、その際、果して市はコンテナ船航路に占める東南アジア諸国の位置、最も卑近な東京港や横

浜港との競合関係を考えていたのだろうか。

川崎港の特徴は何なんだろうか。港湾局と学者との議論の記録をみると、「川崎港の特徴を活かし

て」と言いながら、何が特徴なのかを全く語っていない。まるで禅問答である。そんなものは高僧

にお任せしておいて、特徴を活かした政策を立案しなければならないのが、港湾局職員ではないの

だろうか。

FAZといいKCTといい、すべてそうなのだ。高橋前市長は当初税源培養だといっていた。税金

が増えることは確かに望ましい。しかし、川崎市がなすべきこと、川崎市でなければできないこと、

それは何かという発想がどこにもみえない。

例えば、災害時に川崎市民が緊急避難すべき場所に指定しながら、例えば耐震基準を満たしていな

い学校校舎の補強、あるいは改築は川崎市でなければ出来ない事業であるし、介護問題でも川崎市

民の介護は川崎市固有の課題である。財政支出が嵩んでもそれを非難する市民はおるまい。税源培

養を呼号しながらディベロッパーぶるより、地方自治体の責務を先ず果し、税源培養はじっくり練

り上げて欲しい。そうした任務の放棄に対する批判ではないだろうか。








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