かわさき市民オンブズマン会報31号

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***もくじ***

● 主張川崎市行財政改革を望む(事務局長:清水芳治)
● 第9回全国市民オンブズマン栃木大会報告
  • 談合問題分科会に出席して   
  • 包括外部監査分科会   
  • 情報公開法分科会   
  • 監査請求・新住民訴訟制度分科会

● 大師河原の土地返還 <三田工業事件に結末を>(渡辺登代美)
● 十字路
  • したたかな田中さん <長野県知事再選>   
  • 佐藤貞男格言新集-13
● 会計報告

● 主張川崎市行財政改革を望む (事務局長:清水芳治)

 

1 昨年6月12日、司法制度改革主張 川崎市行財政改革に望む

事務局長 清水芳治



9月3日に川崎市は行財政改革プランを発表し、10月15日の多摩市民館でのタウンミーティング

を皮切に各区で市民の声を聞く方針であるという。各区民は積極的に集会に参加し、市民の希

望をプランに反映させるよう努力して欲しい。

ただし、その際、以下の3点を前提としたい。

@ 国策に迎合して大失敗したKCT、FAZなどの経験を如何に総括したかを明らかにすべきであ

る。

KCTに関して云えば、ガントリークレーンの使用料免除、港湾建設費だけではない。

大型コンテナ船が入港しないにもかかわらず、深度を保つために毎年5億円を掛けて浚渫を繰

り返しているといわれる。これらを合算すれば巷間いわれている以上に資金が投入されている。

高橋前市長はディベロッパー風これらの事業を税源培養策と広言していた。第三セクター方式

を採用するに当たっては、民間活力導入と称していた。しかし、これら事業は気息奄奄、税金

カンフルで辛うじて継続できているに過ぎない。

現市長が前任者をあからさまに批判するのは、慣行上は問題があるかも知れない。だが、川崎

市民にとってはそんなことに構っていれられほど生易しい事態ではない。高橋氏が市長選で落

選したことで政治的責任を取ったことにはなるまい。はっきり総括し、ここで市民として国策

に乗ることの是非善悪を慎重に考慮する必要がある。

A 次に、どこかの国の、学者上がりの、変な大臣のように、政策が首尾一貫しないのは困る。

規制撤廃だことの、銀行の護送船団方式だことの、正直に働いたものが報われる社会云々と言

ったかと思うと、不良債権処理に税金を投入せよと、仰る。これこそ護送船団方式そのもので

はなかろうか。

川崎で倹約するのは結構、支出を抑制するのは更に結構。だが、2億円で取引された保養所予

定南伊豆の土地を6億円でポンと購入するようなことを真っ先に止めて貰いたい。こういうこ

とのないようにキチンとし、夙に指摘されている公共事業の高値の積算価格を、民間業者の協

力を得て資材など市場の実勢に見合った価格に基づいて正当に算出し、可能な限り引き下げる

べきであり、入札方式を例えば横須賀方式にするなどして、落札率を押し下げれば巨額な節約

ができることは間違いない。

B	そして、川崎市が現に持っている資源資材を活用する方途を知恵を出し合って編み出

すことだ。

タウンミーティングでは市民の知恵を学べると思うが、政令指定都市で最高給をとっていると

いわれる市職員を如何に活躍させるかが行政の焦眉の課題だし、財政的にゆとりがある時は都

市の緑を守るために金を回すなどという知恵のない話は止めにして貰いたい。

例えば、川崎市における緑のダムの可能性を孕む向ヶ丘遊園跡地を、緑の大地として保存する

のは川崎市のAクラスの政策、喫緊の政策でなくてはならない。そのための原資をどうするか、

このために頭を働かせるべきであって、ランクを下げることでその場凌ぎをしても余り褒めら

れたことではない。人件費や下方硬直性などに市民の耳目を向けさせるのではなく、思い切っ

て、従来の枠を超えた方策を追求せねばならないということである。

少なくとも以上の点を前提として、改革を進めて欲しい。






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● 第9回全国市民オンブズマン栃木大会報告

談合分科会に出席して

<佐々木玲吉>
   

談合問題分科会に出席して

佐々木玲吉



9月14日、東京駅東北新幹線プラットフォームに立つ。するとあちこちに毎年全国大会でお会

いする面々を見かける。JRや宇都宮市に大分貢献しているのだなと感じる。

さて今年の談合問題分科会は、国際会議でも開かれるような文化センター内の最高級会議室が

割り当てられ、約70人程が参加した模様。

まず、大川座長より談合業者らの損害賠償責任を追及する住民訴訟については、従来「契約

成立の日から1年」という期間制限の論調が主流を占めていたが、この度最高裁3つの小法廷

全部が「談合追及の住民監査請求に期間制限はない」という新判断が示されました。これは

大成果であると報告されました。

そこでオンブズマンとしては、今まで監査請求を見送って来た数々の談合について洗い直し、

全国的な請求運動に取り組もうと提起された。Damn to Dango!!

そして談合の存在が認められ損害賠償が認定された事例15程が報告されましたが、その中で

和歌山の事例は和歌山オンブズマン独特の研究がありますので、和歌山報告書より抜粋致し

ます。

 《当会の損害金の算出方法は、実際の談合による落札金額と自由競争により形成されるであ

ろう落札金額との差額に相当するとして算出しています。具体的には、談合が行われた96〜98

年分のすべての工事を調査・分析し、各年度とも予定価格に張り付く一群と、最低制限価格に

張り付く一群との二極に大別されることを実証。そして、最低制限価格に張り付く一群を、自

由競争によって形成された一群と見なし、その一群の最低制限価格を基準にした平均落札率を

求め、同平均落札率に談合が行われた実際の最低制限価格を乗じて得られる金額が自由競争に

よる落札額と見なし、実際の談合による落札金額から差し引いた残金を損害金としていました。

判決は、この手法について、「その手法は概ね合理的と考えられる」とし「損害額の認定に当

たっては一つの判断資料になりうる」と判示しました。

そして、損害率の認定にあたって判決は、談合による実際の落札金額を基準として、自由競争

で入札が行われた場合の落札価格率を考察しています。その考察は次の三つの事例から行って

います。つまり、@当会の請求手法、A97年に摘発された三重県久居市の談合事例、B和歌山

市の98年度と00年度のそれぞれの平均落札率などを事例にして、自由競争なら、落札価格の87

%を上回らなかったと認定しました。》

しかし、以上のような動き流れはあるものの談合それ自体の立証はまだまだ困難を極めおり、

世間一般の人がどう見ても談合と思われる件でも裁判所が認めない場合も報告されました。

以上、雑ではありますが、今回のレポートとします。

尚、川崎北部病院建設に関わる入札は、10月9日に延期されましたが、皆で注目していきましょ

う。

包括外部監査分化会

<江口武正>
全国大会報告

包括外部監査

江口武正



 2002年9月14日〜15日に行われた第9回全国市民オンブズマン栃木大会に参加した。

 総参加者は約470名であるが、大会会場の収容数も適当でほぼ満席状況であり大盛会の感が

あった。

又、気配りのある運営が随所にあり好感が持てる大会だった。残念ながら、私は都合で14日

のみの参加となったため、14日の包括外部監査分科会の報告をする。

 包括分科会は他の分科会に比較し参加者が少なかったが、その分全参加者に発言の機会が与

えられたこともあり比較的まとまりのある分科会であった。



 個人的に関心があった川崎市関係を中心に報告する。

 川崎市の監査は今回、交通事業を対象にしたが、かなり良い監査であったにかかわらず「C

ランク評価」(不十分な点が多く、監査方法や内容を改める必要がある)となったため、その

点について私が訂正を求めたが残念ながら認められなかった。

 今回の監査では、大きく新聞でも報道された「退職手当支給時に定年退職者全員に特別昇給

制度が適用されているが、勤務成績についての根拠資料が添付されておらず規程に違反してい

る」をはじめ「敬老特別乗車券負担金は、利用率算出データが古く、平成10年度の人員を元に

再計算すると111百万円多くなっている。」等、厳しい指摘を随所で実施しており高く評価でき

るものであった。通信簿に記載されている実際の評価も対象の選定は時宜に適っており適切で

ある。監査結果も一定の活用度が認められる。

 財務状況を他の大都市や民間バス会社との対比で示しわかりやすく適切である。

 グラフや表を活用し、計算の詳細を注記するなどわかりやすく工夫されている。

 と地元の評価がそのまま記載されており、Cランクとギャップが大であった。

 今回の審査は全国規模で公正を期すため現場の採点は禁止されており、全国のレベルで評価

しているため評価が分かれたわけである。

 どうも地下鉄新設について意見を述べていないことで減点になったようであるが、地下鉄建

設の是非は2つの委員会で別途本格的に検討を行っており、建設されるかどうかもはっきりし

ない地下鉄評価を、現時点で外部監査人に求めるのは酷と言うものである。

 全国での集計の労力は並大抵にことではなくその努力には敬意を払うものだが、評価のギャ

ップのあまりの大きさに苦言を呈してしまった。分科会参加者には私の説明で、川崎の外部監

査が良く行われていたことが理解されたことと思う。

情報公開法分化会

<渡辺登代美>



情報公開法分科会

                          渡辺登代美



1 宇都宮といえば餃子。そう、最近、餃子で街興しを計っているそうな。総務庁の家計簿調

査で、一世帯当たりの年間購入額が日本一という結果が出、JR駅前には餃子像というわけの

わからないものまで登場している。ただ、おじさんおばさんにとっては、メニューが餃子だけ

の専門店はちときつい。

  その宇都宮の中心街からほど近く、県庁に通じるマロニエの並木道に栃木県総合文化セン

ターが見えてくる。

2 全体会の後、5つの分科会で討議をし、翌日の全体会で報告がなされた。

  情報公開法分科会は、情報公開法の施行後1年を経て見えてきた問題点とこれまでの成果に

ついて討議した。

3 報告5本と内容は以下のとおり。

 (1) 仙台市民オンブズマンの齋藤拓生弁護士から問題提起

法律的な問題で、読んでもあまり面白くないでしょうから紹介だけ。主要には、情報公開法36

条による取消訴訟の管轄問題、大阪府情報公開条例に関する最高裁判決に見られる情報の単位

の問題、情報公開法5条4号により行政機関の長の第一次的判断権が尊重された結果による立証

責任の転換の問題の3点。その他、防衛庁の請求者リスト問題、検察庁などの窓口対応が悪い問

題、情報公開審査会の活用など。

(2) 情報公開市民センター相談員の石田さんから第2回中央省庁情報公開度調査と結果(情

報公開度ランキング)

内閣官房外、1府12省庁1院の合計15官庁に対し、大臣交際費・諸謝金・報償費の公開を求めた。

内閣官房と外務省の報償費については前回同様全面不開示。公開度ランキングとしては、@総

務省165点、A財務省160点、B文部科学省150点〜M法務省100点、N外務省75点。ちなみに、

外務省の交際費は他の官庁より単価が高いそうだ。

 (3) 高橋利明弁護士から外務省報償費訴訟の争点

(2)のとおり、前回の調査に対して外務省が報償費を全面不開示とした処分の取消訴訟が行わ

れている。報償費とは、情報提供に対する対価、情報収集に必要な経費、我が国の特定の政策

や立場についての理解や支持を働きかける等の外交工作に必要な経費、情報収集及び外交工作

の基礎となる人脈の形成に必要な経費のようなものを指す。外務省は、内容を公開できないの

が報償費の特質であり、これを公開すると外交活動に支障が生ずると主張しているそうだ。全

部が全部、公開がはばかられるものばかりではあるまいに。

 (4) 検察庁調査活動費に関する問題

検察庁の調査活動費とは、情報提供者(スパイ)に対する報酬。これが遊興費に使われている

との内部告発で、週刊誌等でも問題になっている。マスコミ等で取り上げられた途端に、

5億5000万円使っていた調査活動費が半減したのも有名な話。この度、2人の告発者の証人尋

問が決定したそうだ。

 (5) 清水勉弁護士から住基ネット問題

実は、これについての討議が一番盛り上がった。送られてきた住民票コードの通知を送り返し

た人、役所までわざわざ持っていって職員とかけあった人、行政不服審査法に基づく異議申立

てをした人など、全国各地で結構反対・抗議の意思表示がなされていた。名古屋では、オンブ

ズマンが呼びかけて集団的異議申立てをしているそうだ。

私は実は横浜市民なのだ。すでに、県への本人確認情報非通知申出書を提出済。今後、離脱を

表明する自治体が増えてきて、事実上機能しなくなることを祈念している。



監査請求・新住民訴訟制度分科会

<篠原義仁>



監査請求・新住民訴訟制度分科会の報告



  1  第9回全国市民オンブズマン栃木大会のメインテーマは、「こっち向いてよ 監査委員

さん」ということでした。

 第四分科会は、さらにこれに各論的に焦点をあてて開催され、通常の内部監査請求の外に、

1999年の法改正によって導入された個別外部監査請求をも視野に入れて討議されました。

 そして、学習会的要素として、今年の春、オンブズマンをはじめとする数多くの国民の反対

を押し切って成立した、新住民訴訟制度の解説が行われました。

 新住民訴訟については、従来、自治体の首長や職員を直接被告として損害賠償請求等を提訴

していたものが、まず第一段階として住民が自治体を提訴し、勝訴すると第二段階として自治

体が首長ら個人を相手に提訴する、という二段階方式が説明され、改悪の内容が具体的に報告

されました。

 この外の改正、改悪点もありますが、概ね、かわさき市民オンブズマンでも議論されてきた

ところなのでこれを省略しますが、つまるところ、これをどう実践的に克服するかが課題であ

ることが強調されました。

  2  内部監査請求についていうと仙台市民オンブズマンが取り組んだ政務調査費、とりわけ

そのうちの議員出張交通費に関する監査請求、住民訴訟が詳しく報告され、注目を集めました。

 これは、議員出張は必ず議会議長あてにその届出が行われることから、その資料を情報公開

で入手して分析したものです。

 ご当地では「悪名」高いという自民党議員は、何々視察と銘打って無茶苦茶個人的出張をく

り返していました(この外、議会の正式行事出張あり)。

 その出張目的は、同じ地域に同じ目的で行っているもので、その不合理性は明らかです。ま

た、その議員個人のインターネットから情報を得ると、自分の子どもに係るスポーツ大会等の

行事の参加がつづられ、その開催地と出張地域を照合するとその近接性も明らかとなり、不正

使用の可能性も明確となったとのことです。そして、裁判提訴(監査請求は全く機能せず棄却)

につき記者会見した途端に、約110万円が自主的に返還された、と報告されました(裁判はひき

つづき追及)。

 政務調査費追及のヒントを得た思いがしました。

 他方、外部監査請求については都道府県レベルで99年に31件、00年に14件、01年に38件申立

てられたものの、99年に秋田県で2件、奈良県で1件採用されただけで、各地で苦戦を強いられ

ているようです。

 そして、この3年間の市町村レベルでも合計3件の採用で、そのうち1件が川崎の経験とのこと

でした。

 そんな関係で、川崎の経験の報告を求められ、FAZに関する外部監査請求について分厚い

資料(33頁)を用意して報告しました(報告内容は川崎にとっては周知の事実なので略)。

 分科会の最後には自治体の行う「高い買い物」の責任追及に関し、名古屋の化石博物館の高

額買入事件(裁判勝訴)、神奈川のドームシアター「横浜21世紀座」の裁判報告、岡山の市

立病院事業管理者報酬の高額支払(年額1億余円)の裁判報告が行われ、いずれも行政の無能

さ、違法性を浮き彫りにしました。

 従って、住民監査による行政の高額買入事例のチェックがますます重要となっていることが

確認されました。

(追記)高額買受を差止めた、かわさき市民オンブズマンの南伊豆保養所用地買受差止請求

(一審、二審とも完全勝利)は、そのいみでもきわめて注目され、分科会報告するよう求めら

れました。

 ところが、大会三日前の本部事務局からの通知で、分科会報告から全体会報告(二日目)に

格上げされ、その準備をして臨みましたが、事務上の手違いでカットされ、報告もれとなって

しまいました。かわさき市民オンブズマンの成果を正しく伝えるいみからも残念な結果となり

ました。

(追々記)9月17日、大会本部事務局から、早速ご丁重なおわびのFAXが入りました。

                                             (9.17、篠原義仁記)

 



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大師河原の土地返還<三田工業事件に結末を>
(渡辺登代美)

 大師河原の土地返還―三田工業事件に結末を

                         渡辺登代美



1 塩漬土地問題から発展し、すっかりおなじみとなった川崎縦貫道汚職事件(三田工業事

件)。平成13年2月7日、東京高裁において、三田工業が川崎市から売買代金の返還を受ける

のと引換に所有権移転登記を抹消し、大師河原の土地を川崎市に返還すべきであるという判

決が言渡された。

2 それから2年半以上が経過したにも拘わらず、川崎市は一向に大師河原の土地を取戻そ

うとしない。大師河原の土地には三田工業を債務者とする抵当権が設定され、現在も三田工

業が作業場として利用している。これは市が贈収賄という汚職事件を追認しているに等しく、

このまま放置しておくことはできない。

3 そこで我々かわさき市民オンブズマンは、川崎市に対し、@売買代金の返還と引換に、

三田工業による所有権移転登記の抹消登記手続をとること、A三田工業が土地上の建物を取

壊して、土地を明渡すこと、B三田工業を債務者とする抵当権等の抹消登記手続を行うこと、

の3つを求めて監査請求を行った。しかし、平成14年7月17日、上記監査請求は棄却された

(詳細は、会報第30号参照)。

4 このまま黙っている我々ではない。総会での討議を踏まえ、8月15日、上記3点を要求す

る訴訟を提起した。この訴訟の被告は川崎市長だけではなく、三田工業に対する抵当権者で

ある三井住友銀行(旧さくら銀行)、エスエムビーシー抵当証券(旧さくら抵当証券)、朝

銀関東信用組合(旧朝銀神奈川信用組合)の3つの金融機関を含んでいる。川崎市にのらり

くらりと逃げを打たれるのを防ぐため、経済情勢の厳しい昨今、敢えて金融機関を被告とし

て巻込んだのだ。

5 第1回裁判は、10月9日(水)午前10時30分、横浜地裁で行われる。今度こそ、三田工業

事件に決着をつけたい。




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十 字 路

したたかな田中さん

<長野県知事再選> 江口武正



 したたかな田中さん―長野県知事再選

(戦略なき議会)

江口武正



田中長野県知事が大方の予想通り再選された。

知事の座から田中氏を引き下ろした県会議員は面目丸つぶれになったが、県議側は如何なる

戦略でこの暴挙に出たのであろうか。なんらの戦略もなしに感情のおもむくままに突撃した

とも思われるが、1つだけ県議の思惑が外れた点がある。

 県議側は田中知事が自分の辞任だけでは不公平だとして、議会の解散にふみきるのが当然

と考えていたのであろう。しかしながら田中氏は自身の辞任のみで県議会の解散を実施しな

かった。

田中氏は若干考慮の時間が有ったことも幸いし、したたかな計算をしたようである。

 議会が解散になれば、数十人の県議が同時に選挙に突入することになり、反知事派の県議

は田中氏の独裁的な手法、スキャンダル等について声を大にして訴えられると考えたのであ

ろう。

また、市民派の候補者の選挙準備も整っていなかったと考えられる。かりに同時選挙でも田

中氏が当選したと思われるが、今回のような大差にならなかったと思われ、県議の面目も少

しはたもたれたであろう。田中知事は同時選挙の不利を考慮し県会を解散せずしたたかに勝

利したわけである。

 県議会議員は来年任期終了で選挙を迎えるが、田中氏は無所属の市民派候補を擁立するの

であろうから、いよいよ現県会議員の身辺はあわただしくなる。

 県議側の無策の他、今回の知事選挙での大きな特徴は高い投票率である。投票率が上がれ

ば、一部の利権集団の意思はまったく無意味になる。候補者も一部の擁護団体のみを面倒を

みるだけでは当選がおぼつかなくなり、すこしは民主的になるのであろうか。

投票率を上げることが日本再生の重要な項目になることを教えてくれた今回の知事選でもあ

った。ちなみに、私は脱ダム等田中県政を支持するものである。





佐藤貞男格言新集-13

佐藤貞男



佐藤貞男格言新集―その13

佐藤貞男

法律も変化させねばならぬ

世の中に存在する全ての物、ミクロの原子、細胞からマクロの天体、宇宙に至るまで。

有機である生命体、植物、動物は発生から消滅までと云う変化を起こして行く。無機物

は力量のバランスを保ち乍の変化と云う過程を経て安定を作って行く。

自然は野や山に行けば永い時間の中で毎年花は香を放ち美しく咲いては居るが、去年の

花とは異なる。草木も陽光を受け、青々と輝いては居るが、育つ為に変化して居る。海

辺に行けば、波は滔々と岸を洗い宛ら樂を奏でる如く聞こえて居るが、永い時間の内に

崖を削り島を呑み込み、氷河も溶けて陸地を水底に変化させて行く。これが自然界の変

化による安定への姿なのだ。

人間も生命体として生まれてから死に至る迄の変化を経る。全ての生命体は一瞬も停止

する事なく動き乍変化して居る。生物は変化こそが生きて行く為の絶対条件、変化しな

ければ育ちもしないし命は無いのだ。心臓も肝臓も脳もその人が寝て居る時でも意識し

て居なくとも、一時も休まず変化し動いて居るでしょう。停止は許されない。変化を嫌

うは邪道なのです。変化を求めて進むのが自然界の如く本筋なのです。

世界も情勢は日々刻々様々な事が起こり変化して居る。社会もそれに対応し変化させて

行く事が絶対必要事項と思います。

処が個人も何事も無いのを好しとするか、安逸を好むが如く、今の政治行政には変化を

嫌うか、何事も平穏の如く装い、変える事に対する努力が欠けて見える。

一度規則なり法を決めるとその法に囚われ、法がこうだから規則はこう成っているから

と、遣れる事でも手を出さない。法に国民が縛られた社会を作って仕舞う。丸で法が主

で国民が従。何の為の主権在民なのだ。

現に何事が有っても何事も無きが如く、ひた隠し。大事に成って隠す事が出来なく成っ

て始めて「再びこの様な事の無い様に」と頭を下げる姿をTVで幾度見た事か。

従って日本の政治は後手後手で後始末に何時も追われて居る状態、「政治とは先手を打

つ事と人心を掴むに在り」と云う要諦から遠く離れている。それに主権在民なのに、国

民に必要事項な法規則を決めるのに、国民には知らしむ可からず云わしむ可からずで、

法の目的も何故必要なのかの説明も公開もせず、ひた隠し、国民無視、議会は国民代表、

代表が決めたのだからと云うが、日本は人名選挙、議題は白紙委任、それに選挙した時

点にはその法は、議題は無い筈、従ってそれは民意に問うのが妥当と思う。

抑選挙は能力が求められる処。人名選挙はこう激しく変化して行くご時世に遅れて仕舞

う。

話を基に戻しますが、財政的国威に失敗しても最終的には国民が責任を負担、彼らは任

期さえ終われば責任を取らず、刑罰も無く、退職金は決りに依り頂き、中には天下りを

極め込み悠々自適、国民の苦しみなど我関せずの彼等、一般国民は売上が激減、辞めざ

るを得ない小企業、勤め人は倒産に依る失業、企業の立て直しによるリストラ、会社を

首になっても退職金も出ない人や今や失業者が350万人、未だ未だ増えそう。こんな格差

のある世の中なのに住宅でも昔は公務員も賃金が安かった、だから官舎を作り安く住め

る様にした。それが昭和30年代より給与が上がり今では一流企業並みに成っても官舎家

賃は変化せず、管理も親方日の丸、日銀等のお偉方の官舎を見よ、自分達の都合の良い

事は絶対変化なし、変化の無い事を悪用して公金を私する者続出、給与の面でも国及び

県市町村まで含めると借金は700兆、未だ増加傾向に成っているのにスト回避を条件とし

て毎年賃金手当を増額して仕舞う。議員もそうだ、国の事など考えずと云っても良い態

度、驚く勿れ「裁判官は給与を下げてはならぬ」と云う規定まで出来ているとは恐れ入

る。裁判官とは正邪を質す職種の筈なのに彼等が今の社会を知らぬとは解せない。

 人は自分が有利であるなら変化を知る能力も失われて仕舞うのか。真の平和と幸せを

求めるなら、未来を知り、自然界の様に変化の真理を理解し、一時も休まず変化の道に

勇気を持って進まねば国も社会も、否人類も滅びる。

「雨も良し風も亦良し雪も良し悪しきは人の悪しき心ぞ」




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