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十字路

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 自画自賛・官製オンブズマン報告
 

                                     望月文雄
『市政だより』3月21日号の1面トップに川崎市の官製・市民オンブズマンの報告 が出ていました。「市民の苦情・要望にすばやく対応(市民オンブズマン発足10周 年△▲1.600件以上を処理▲△)」という大見出しで。私の手元に川崎市市民オ ンブズマン・柘万里子、専門調査員・阿部真紀子連名の手紙があります。日付は 平成12年12月28日付けです。内容は「望月文雄様、あなたが申し立てられました 『川崎市出資法人の負債・損益明細表の公表発行に関する苦情申し立て』(平成 12年度第91号、平成12年11月16日受付)は、現在調査を継続中です。調査結 果をお伝えするまで今しばらくお待ち下さいますようお願い申し上げます。」というも のです。

 私は『市政だより』を読んだ次の日に専門調査員に電話をし、私の苦情申し立て がどうなっているのか問い合わせました。最初、専門調査員には、私の話が通じず、 出資法人のことですと告げるとやっと理解し、まだ調査中なので、今しばらく待って 下さい、との返事でしたので、どれぐらいと期間を尋ねると1ヶ月か2ヶ月、はっきりと はいえませんがという返事でした。待ちますと返事をしてから私は考えました。本気 で私の苦情申し立てに取り組んでいず、棚上げにしているのだなと。
 私の苦情申し立ては川崎市長も行政も隠すことに夢中になっている事ですので、 官製市民オンブズマンは処置に困っているのでしょうか。3月19日の拡大幹事会に 参加された人の「川崎市の建設局職員が公文書偽造で私道を国道に登記した犯罪 に官製オンブズマンが苦情申立を却下した」という訴えが思い起こされます。


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 中国を旅して
 

                                     佐々木玲吉
今年一月友人より中国へ旅行してみないかと誘われ、どうしたものかと思案しまし たが、簡単には行けるものではない、よし行って見ようと決断し、三月上旬西安、 北京、万里の長城等を見学して来ました。

成田を飛び立ち雪で蔽われた中部山岳地帯を横切り鳥取上空より日本海へ。そ こで突然乱気流に襲われウィスキーの水割りがひっくりかえる。韓国上空より渤海 湾へ。あたりの海水は急に濁り出した。大陸近しと感じさせる。北京空港より国内 線に乗り換えて西安へ。夜の西安空港へ降り立つと奇妙な臭いがする。黄塵万 丈、黄砂だという。まっぐホテルへ、そしてすぐ夕食となる。名物しゃぶしゃぶとは 聞いていいたが、ここは中国奥地、当地で採取される野菜と羊の肉である。翌朝 道端においてある車は皆薄っすらと砂埃を被っていた。ホテルの窓より市街地を 見ると、道路は右側通行は守られているものの、タクシー、荷物満載の三輪自転車 、或いはトラック等区別なく走り、少しの間を見て、人も自転車も走りぬけて行く。よく 事故がおきないものだと感心したものである。

西安はシルクロードの始終点、かつての國際都市。その歴史は3000年は遡るとい われ、周囲10数kmは城壁によって囲まれています。わが国の京都は西安(当時は 長安と云われた)を模して造られたと云われています。西門より真っ直ぐ西に延々と した道があります。これがシルクロードだそうです。
玄奘三蔵がインドより持ち返ったといわれる仏典が納められた大雁塔、牌林、秦始 皇帝陵、それを守護する兵馬俑坑、玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスの華清池等を見 学したあと、西安をあとにして北京に移動する。

さて古都の城壁を出て空港へ向う西安郊外の道筋は今や学校、役所、銀行、オフ ィス、大運動場、そして住宅等建築ラッシュである。賭博場は無いもののアメリカ西部 のラスベガスかと思う程である。多分古都は古都としてそのまま残し、西安は近代的 な都市として生まれ変えようと云うのでしょう。
夕刻、北京空港に到着する。空港より北京への道の両側には実に見事に綺麗にニ セアカシアが植林されている。夜北京に到着する。それは東京とは比較にならない 程、整然とした街並みであった。各種銀行、ホテル、オフィス等近代的高層ビルは立 ち並び、自動車、自転車、人はきちんと区分けされた道路を通行している。それだ けに北京に住み北京で働きたいと思う人が沢山おり、厳格な人口流入規制を行っ ているとの事です。

翌朝、明十三陵の一つを見学したあと世界遺産万里の長城へと向かう。長城は中国 のシンボル。総延長6700kmではあるが、前から色々疑問を抱いていた。行って見て その疑問は一層深まるばかりであった。悠久の歴史万里の長城と云われるが一体何 なのであろう。それは北方よりの軍事勢力によって乗り越えられた歴史でもあったよう です。一番有名なのは元、フビライによる侵攻でしょう。またある現地の人が長城の近 くを掘ったところ人骨が何体も出て来たとも云われています。長城はこれからも歴史学 者、考古学者、自然科学の人達によって色々研究されなければならない課題でしょう。 一泊の後、天安門より故宮紫禁城へと入る。明・清の歴史500年、24人の皇帝がここ で暮らしたと云われ9999の部屋がある。約100万点と云われる財宝が保存されてい たそうですが、国共内戦の時、敗戦を感じた蒋介石はその大半を台湾へ持ち去った そうです。ここで面白い話を聞きました。皇帝の座した椅子の上部にサッカーボール 程の大きさの玉がぶるさがっていました。それは陛(へい)と呼ばれるそうです。その 下に座るから陛下となるそうです。天皇陛下の語源です。

以上駈足で中国をまわりましたが、現在中国は地域間の格差、都会と農村の差等、 数々の問題を抱えているようですがGDP純国内総生産を向上させる事は最大の課 題だそうです。既に国内を走りまわっている車の大半は国産であり、次にドイツ製、と きにトヨタを見かけます。若者の茶髪、女性のミニスカート、これらはついぞ見掛ける 事はありませんでした。今や国有企業(公司)のみでなく、私企業もあるいは外国との 合併企業も活発に活動しています。
日本を出る時、数年前に中国を旅行した先輩から郊外はトイレは整備されていない、 便はしゃがんで皆並んで用をたしている。掏摸、ひったくりには注意せよ、水道水は そのままでは飲めない等注意は受けていたが、充分ではないにしろ、観光地のトイレ は整備されていたし、盗難にあったものは誰もいなかった。それどころか各地で日本 語の分かる人は意外に多く、日本はよく研究されているようです。

明治以来わが国は欧米を先進国としアジア諸国を蔑視する傾向がありました。戦後は アメリカをすべてよいものとし、昭和の遣唐使といわれてアメリカの生産方式、QC導入 に躍起になったりしましたが、アジアに位置し、アジアの人々と交友関係を保たなけれ ばならないわが国は、文化の先輩中国を知る事は大変重要な事と考えた次第です。 「三年後、或いは五年後再び中国へおいで下さい、中国はもっと変わっているでしょう」 自身に満ちたガイドの説明は忘れられない。



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 市民オンブズマン活動究極の選択
 

                                   奥田久仁夫
これ迄の4年にわたる市民オンブズマン活動の中で強く感じるのは、市民を常に 跳ね返そうとする行政の厚くて高い壁である。
開示請求に対する公開情報は肝心な部分は常にスミ塗り。市民に一歩も踏み 込ませまいとする行政の意志を強く感ずるのは私だけではないであろう。

一方で一兆円プロジェクトの川崎市営地下鉄はその費用対効果、受益と負担 が全く市民に明らかにされないまま、着工迄のタイムスケジュ−ルが着々と消化 されてゆく。
議会も工事費の総額や更には着工したばかりの横浜市営地地下鉄環状線、 日吉〜中山間一キロ229億円の工事費予算に対して、川崎市は一キロ339億円 を要すること等について、突っ込んだ議論はもとより、認識すら無いまま「あれば こしたことがない」との発想だけで公共事業を受け入れてゆく。赤字鉄路必至の ゼネコン向けの国家事業を、市民の巨額な負担を省みずにである。
これはほんの一例であるが、市民不在のこの行政を決して放置できないと思う。 その為には、スタンドで声を張り上げるだけでは効果に限りがある。ベンチの中 で直接、指揮・監督するべしとの考えは、財政のムダ使い・非効率を追及する 市民オンブズマン活動必然の帰結であり、究極の選択であると思うのであるが如何 であろうか。各方面からのご意見を伺いたい。


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 政治の季節がやって来た!
 

                                          清水芳治 今年の秋、川崎市は市長選を迎える。そのためか最近俄かにざわざわし始めている。 ちょうどいい機会だ。改めてオンブズマンとは何であったか、何を目指し、何になろう としているのか、を会員各自が落ち着いてじっくりと考え直してみては如何だろうか。 まず、われわれは裏社会ではなく、表社会の裏側を問題にして来た。三田工業事件、 南伊豆保養所用地、然り、また塩漬け土地の利子のように明らかな税金の無駄づか いを指摘して来た。これを私はネガティブ・キャンペーンと表現する。会員の中にこれ らの活動を通じて実力を蓄え、余りにも無残な政治的現実を座視できず、政治の世界 へ進出しようとする個人が出て来るのは、ある意味で当然かもしれない。

しかし、われわれの先のキャンペーンと「政治」と称されるものとの間を隔てる谷は深い。 批判行動で同調できても、いざ具体的に税金を何に使うかになると、会員の間で意見 は分裂する。それで当然なのだ。あるべき宗教団体や労働組合、職能団体と同様に、 あるべきオンブズマンは政策を中心とする集団ではないからだ。オンブズマンはキャン ペーンを通じて情報を提供し、市民に共通のルールの確認を求め共通の枠組みを作り 上げ、その土俵の上で政治的党派が相争うことを望むのであって、あれやこれやの政 策を実現するために活動するのではない。もしそうでなければ、政党に所属するか、 政治的集団を組織すれば良い。

政治一般にしてそうだ。ましてやわれわれが監視の対象とする行政のトップを目指すこ とになれば、あれやこれやの政策は別としてオンブズマン組織の対立物に転化するす ることは自明の理だ。もちろん、輻輳する現代社会において人間は多面的に存在し、 ある個人が政治的側面を中心に据えることを拒否するほどオンブズマンは偏狭ではな い。しかし人格的に一個人に収斂するにせよ、オンブズマン組織とは切断すべきであ ることはこれまた当然ではなかろうか。



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 佐藤貞男格言新集―その4
 

                                         佐藤貞男
民主主義五ヶ条
今年も、もう直ぐ憲法記念日が来る。主権在民、主導権は国民に在り、決定権は 大衆庶民に与えられたのだった。永い永い間の専制、封建の屈辱から敗戦によっ て解放された素晴らしい時代が来た筈なのに今の世相はどうか。
天下りの言葉があるように、現にそれが堂々と実行されている。その他庶民が知ら ぬ間にお手盛りで公金を懐に入れてしまう制度をどんどん作って、法律だから規定 内だからと我侭一杯、云えば限りが無い程反民主主義的な事が多い。

半世紀以上も経っているのに果たして日本は民主主義に成ったであろうか。知のあ る人なら否と答えるであろう。何故だろう。民主主義その物に無関心なのか。基本も 運用、やり方も知らないのか、他から与えられた制度だから嫌なのか、それとも上層 部の人達が避けているのか。これから先、民主主義をどう扱って行くのか、どうする 気かと云いたい。それでも私は民主主義社会が一番良い生き方だと思い考えて簡単 に五つの法にまとめて発表します。

「第一条 民主主義とは先ず義務を果たすに始まる」 孔子曰く「君は君た、父は父 たり、妻は妻たり、子は子たり」と各々自己の責務を果たせと促している。これこそ民 主主義の原点、2700年も前に孔子はいみじくも民主主義を言い当てていた。権利を 主張する前に義務を行えである。「汝ぢ価いする喝」価値もないのに自己主張(身の 保全)。働きもしないのに優雅な生活、手も打ちもしないのに将来に希望を望む、他 人の人権を犯したり、無視しても自分の人権、プライバシーは守らなければならぬ、 皆無理な事、駄目な事を続いてやれば崩壊と滅亡への底へ落ちて行くだけ、この侭 行けば人類は人類の智慧によって滅亡するだろうと感じています。自然界も人類を 見捨てる。然し云うは易し行うは難しで一口に民主主義を創る事は今の心を入れ換 えなければならぬ程大変な事、各自努力と勉強と実行を成さねば成就出来ぬ社会で あると思います。でもこれが、我々が最良の道ならば歩いて行かねばならぬ道。人生 は辛いからこそ又楽しいのではないか。困苦は師なり、苦労をした人は他人の心も分 かるし、語るに良い友だ。